2001 Fiscal Year Annual Research Report
アレイ型アバランシェフォトダイオードによるシンチレーティングファイバーの読み出し
Project/Area Number |
10440078
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉田 拓生 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30220651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥沢 徹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60047397)
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Keywords | アバランシェフォトダイオード / シンチレーティングファイバー / 荷電粒子検出器 / 素粒子実験 |
Research Abstract |
今年度は、アレイ型アバランシェフォトダイオード(APD)を受光素子とするシンチレーティングファイバー(SCIFI)飛跡検出器を実際に試作し、その性能評価を行った。SCIFIのサイズは、次世代加速器による素粒子実験の飛跡検出器として必要とされるサイズに合わせて、長さ2.5m、コア径0.66mmとした。このSCIFIを16本隙間なくシート状に並べ、その一端にアレイ型APDを取り付けた。アレイ型APDの中には受光面1mm径のAPD素子が16個並んでいるが、SCIFI一本が一個のAPD素子に結合するように取り付けた。アレイ型APDは、S/N比を向上させるために、小型の真空槽の中でペルチェ素子を用いて-50℃まで冷却した。こうして作製したSCIFI飛跡検出器に、コリメーターでSCIFIのコア径以下に絞ったβ線を局所的に照射し、そのときの各APD素子の出力信号を計測した。特に、このような計測をステッピング・モーターによって照射位置を移動させながら行い、照射位置やAPD素子の違いによる信号の大きさのバラツキを調べ、検出効率のバラツキが検出器全面にわたって許容範囲以内にあるか否か、などを調べた。このような性能評価をアレイ型APDの試作品2個分、APD素子総数32固について行った結果、APD素子の特性は実用上問題ない程度によく揃っていて、全素子に渡って共通のバイアス電圧でほぼ100%の検出効率が一様に得られた。また、荷電粒子の位置測定精度についても、照射したSCIFIから近接するSCIFIへの信号の混信(クロストーク)などもほとんど無く、十分よい精度が得られた。 以上の結果から、アレイ型APDは、シンチレーティングファィバーを用いた飛跡検出器の受光素子としての役割を十分果たせることが分かり、このような飛跡検出器の実用化に向けて道が開けた。
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Research Products
(1 results)