1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440084
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三本木 孝 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60000791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沢 光晴 東京電機大学, 工学部, 講師 (90277236)
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Keywords | スピン密度波 / スライディング / 量子効果 / 非線型伝導 / サイズ効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,密度波の動的性質,特に,並進運動(スライディング)と関連する現象の中に,明確な量子効果があるかどうかを明らかにすることである.量子効果は有効質量の小さなスピン密度波に現れやすいと期待されるので,スピン密度波の典型物質(TMTSF)_2AsF_6の非線形電気伝導度を測定した.また,密度波位相の垂直方向の乱れの影響を避けるため,コヒーレンス長の垂直成分よりも細い試料を用いることとした.今年度は,電解法により(TMTSF)_2AsF_6単結晶を育成した.結晶の純度を高めるため,原料を再結晶し,溶媒を低温蒸留した.系統的に細い結晶を作ることができなかったので,断面積が約200μm^2以下のものを選び出し,非線形伝導度の測定に使用した.常圧では,試料の冷却時に微細クラックが発生し電流経路が乱れるため,高圧セルを用い,わずかに加圧した.その結果,オーミック伝導度の温度依存性には,微細クラックによる不連続な変化が検知されなかった.伝導度の電場依存性を約0.6K以上で測定した.スライディングの開始するしきい電場は約100V/cmと,太い試料に比較して約1桁大きいことを見いだした.また,その温度依存性も,太い試料と違い,転移温度付近まで温度によらず一定であることを見いだした.より細い試料を用い測定を試みたが,高圧セルに挿入する際に破損する.今後は,細い試料を安全に高圧セルに挿入できるような工夫を試みる計画である.
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Research Products
(1 results)