1998 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面における水素のオルソ-パラ転換機構の解明と新しい表面スピン測定法への応用
Project/Area Number |
10440086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福谷 克之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10228900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 益明 国立岡崎共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40251459)
常行 真司 東京大学, 物性研究所, 助教授 (90197749)
岡野 達雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60011219)
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Keywords | 水素分子 / 固体表面 / 共鳴イオン化法 / 核スピン転換 / 回転準位 |
Research Abstract |
水素分子は振動・回転・スピンという内部状態を持っている.固体の表面との相互作用において,これらの内部自由度が大きな役割を担う.特に金属や酸化物表面では水素分子の核スピン状態が1重項から3重項へと転換することが知られており,本研究では内部状態の役割とスピン転換の微視的な機構の解明を目指している.単原子層程度の微量な水素分子の核スピン状態を感度よく測定するためには,レーザーを利用した共鳴イオン化法が適している.そこで本年度は,まずレーザー強度の増強とイオン測定系の改良によりこれまで開発を進めてきた共鳴イオン化法のさらなる高感度化を行った.さらにこれを利用しアルミナ表面におけるオルソ・パラ転換とオルソ・パラ分離の研究を行った.比表面積62.2m^2のアルミナ表面を16Kまで冷却し,水素分子を物理吸着させた.この表面を0.1K/sの速度で昇温することにより,吸着水素分子を熱的に脱離させ,脱離水素分子を共鳴イオン化法により測定することで,熱脱離スペクトルの内部状態依存性を測定した.スペクトルを解析した結果,回転量子数が0と1の水素分子の吸着エネルギーはそれぞれ56と108meVであることが判明した.イオン性結晶であるアルミナ表面では電場勾配が存在するため,水素分子の持つ4重極モーメントとの静電相互作用が強く働く.回転量子数が0と1の分子を比較すると,J=1の分子は分子軸を横にして吸着することができるため,4重極子相互作用が相対的に強くなると考えられる.さらにこの表面では特定のサイトでオルソ・パラ転換が起こっている可能性を見いだした.
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[Publications] K.Fukutani, M.-B.Song and Y.Murata: "State-selective study of photodesorption at modified metal surfaces" Proceedings of SPIE, 160--166 (1998). 3272. 160-166 (1998)
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[Publications] M.Wilde, K.Fukutani et al.: "Angular distributions of NO in laser-induced desorption from Pt(111)" Surface Science. (in press). (1999)