1999 Fiscal Year Annual Research Report
光パルス列によるコヒーレントフォノンの発生と物性の光制御
Project/Area Number |
10440092
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 修一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10112004)
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Keywords | フェムト秒光パルマ / コヒーレントフォノン / 4光波混合 / フーリエ変換波型整形法 / 誘導ラマン散乱 |
Research Abstract |
本研究は物質の動的な性質と物性発現との関係を明らかにすることを目的としている。このため、フェムト秒4光波支混合の手法を用いて物質を励起し、物質中に生成したコヒーレントフォノンや揺らぎをスペクトル幅の狭いパルスでプローブし、スペクトル領域で測定する分光法(周波数分解4光波混合分光法)の開発を行った。この分光法では、物質中の低振動数領域でのフォノンや揺らぎを周波数領域で精度良く測定できるばかりでなく、光パルス列や2色の励起光を用いて物質中に波数と振動数の決まったフォノンを選択的に励起された振動をリアルタイムに見ることができることが分かった。また、用いる物質が電子の即時応答の強い物質である場合は、励起に用いる.光パルスの時間周波数構造を直接観察できる利点も持っており、チャープしたパルスの時間周波数構造などの光パルスの診断にも用いられることが分かった。この結果は物理学会やルミネッセンス国際会議などですでに発表している。 この分光法で励起光の強度を強くしていくと、反ストークス領域の構造が強くなることが観察され、誘導ラマン散乱過程において振動が選択励起されている過程であることが考えられる。このスペクトル構造は振動準位の緩和速度などに依存するため、この解析からは低振動数領域でのフォノンのダイナミクスについての情報を得ることができる。そのダイナミクスの詳しい研究からはフォノンが非調和な結合を経て、やがてマクロな物性の発現に至る過程を直接見ることができることが予想される。今後の発展が期待される。
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[Publications] H.Fukuda and S. Kinoshita: "Coupling of Macroscopic Quantities in Liquid Observed by Brillouin Spectroscopy"J.Kor.Phys.Soc.. 35. S1141-S1144 (1999)
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[Publications] S.Kinoshita,Y.Kai ,Y.Watanabe and J. Watanabe: "Femtosecond Optical Kerr Effect Measurement on Initial Process of Liquid Dynamics"J. Luminescence. (印刷中). (2000)
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[Publications] J.Watanabe, Y. Watanabe M. Tango and S. Kinoshita: "Discrepancy in response functions obtained from Stokes and anti-Stokes Low frequency light scattering in liquid."J. Luminescence. (印刷中). (2000)
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[Publications] Y. Watanabe and S. Kinoshita: "Frequency-domain four wave-mixing spectroscopy in disordered materials"J. Luminescence. (印刷中). (2000)
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[Publications] H.Fukuda and S. Kinoshita: "Raleigh dip in depolarized light scattering spectra of liquids"J. Luminescence. (印刷中). (2000)
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[Publications] S. Kinoshita,Y. kai, Y. Watanabe: "Origin of initial rise process of ultrafast exponential response in liquids"Chem. Phys. Lett... 301. 183-188 (1999)