2001 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧・極低温・強磁場における希土類価数揺動物質の素励起現象
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10440104
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
毛利 信男 埼玉大学, 理学部, 教授 (40000848)
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Keywords | 希土類化合物 / 価数揺動 / 価数転移 / 圧力誘起現象 / 磁場誘起現象 / 四極子秩序 / メタ磁性 / 電子比熱 |
Research Abstract |
今年度は、Ce,Eu,Tm,Lu希土類元素を含む物質について下記の成果を得た。 1.CeSbにNiを加えた合金、CeSbNi_xについて高圧・磁場下での電気抵抗、帯磁率、磁化測定を行った。その結果、x<0.15の場合はCeSbと同様にネール温度は圧力で上昇したが、ネール温度で現れる抵抗異常は圧力で抑制された。x>0.15ではx<0.15の場合と磁化や抵抗の高圧効果が異なることが判明し、CeSbの磁気相互作用に及ぼすNiの効果に着いての知見を得た。 2.CeNiの単結晶について低温での比熱の圧力効果を調べた。その結果、電子比熱係数が0.3-0.4GPa以上の圧力で急減することを見つけた。この異常な挙動からCeNIにおいてはCeの電子状態が高圧下で局在-非局在状態へクロスオーバーを起こしていると考えられる。 3.Ce_<0.5>La_<0.5>B_6の低温での磁気相図を[100]軸方向に磁場をかけて、1.2GPaの圧力下で調べた。その結果、反強四極子状態(AFQ)は高圧下で安定となり、温度・磁場相図上の領域が拡大した。一方、反強磁性相(AFM)ならびにAFQとAFMの混合相はどちらも圧力下でその領域が縮小した。 4.EuNi_2(Ge_<1-x>Si_x)の磁化測定を低温・強磁場・高圧下で行った。その結果、0.2-0.5GPaの圧力下で磁場誘起の価数転移の生じる事を見出した。この転移は一次転移で、温度ヒステレシスを伴い、転移温度と転移磁場との間に比例関係のあることを明らかにした。 5.ダイヤモンドアンビルを用いて通常の実験室で高圧下のXAFS測定を可能とするシステムを開発した。この装置を用いて、TmSe,TmTeの室温における高圧誘起価数転移を観察した。TmSeでは1GPaから3GPaにかけて価数が2.65から2.7へ急に変化すること、TmTeでは0GPaから6GPaの間で徐々に2.2から2.8へかわることが判った。これらの結果は電気抵抗で見られた異常とコンシステントである。これらの成果はスペインで行われたヨーロッパ高圧会議で報告した。 6.遍歴電子によるメタ磁性転移とその臨界磁場、飽和磁化、キュリー温度の高圧効果をLu(Co_<1-x>Al_x)合金について調べた。臨界磁場は逆帯磁率の温度変化で示す極大値に比例し、xの増加に対して減少することが判った。x=0.1の試料では高圧誘起、磁場誘起の強磁性-常磁性転移を起こすことがわかった。これらの実験結果はスピン揺動を取り入れた磁気体積効果で説明できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.C.Kim: "Pressure dependent studies of CeSbNi_x"Phys.Rev.. B65. 014406 1-7 (2001)
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[Publications] Sigeru Takayanagi: "Pressure Effect on the Specific Heat of CeNi Single Crystal"J.Phys.Soc.Jpn.. 70. 753-755 (2001)
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[Publications] S.Hane: "Magnetic phase diagram of Ce_<0.5>La_<0.5>B_6"J.Magn.Magn.Materials. 226-230. 98-100 (2001)
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[Publications] A.Mitsuda: "Field-induced valence transition under high pressure in EuNi_2(Ge_<1-x>Si_x)_2"J.Magn.Magn.Materials. 226-230. 167-169 (2001)
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[Publications] M.Ohashi: "The valence fluctuation state of Tm monochalcogenides under high pressure"J.Magn.Magn.Materials. 226-230. 158-160 (2001)
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[Publications] Tsuneaki Goto: "Itinerant electron metamagnetism and peculiar magnetic properties observed in 3d and 5f intermetallics"Physica. B300. 167-185 (2001)