1999 Fiscal Year Annual Research Report
梯子型格子を持つ系の超伝導-その物性の解明と新しい系の探索
Project/Area Number |
10440113
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
秋光 純 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80013522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 寿穂 青山学院大学, 理工学部, 助手 (30286231)
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Keywords | 超伝導 / 銅酸化物 / 梯子格子 / スピンギャップ |
Research Abstract |
梯子格子とは、S=1/2のスピンからなるハイゼンベルグ鎖が複数本梯子状に結合したものである。Dagotto、Riceらが梯子格子系において超伝導の可能性を指摘して以来、梯子格子型を持つ物質が注目を集めている。我々は、二本足梯子格子を持つ物質Sr_<14-X>Ca_XCu_<24>O_<41>にキャリアをドープすることにより高圧下で超伝導を生成することに成功した。超伝導の特性をより調べるために我々は大型単結晶の作成に成功し、その単結晶を用いて超伝導の特性及び磁気的性質を調べた。得られた結果は次のように要約される。 1.圧力をかける以前のキャリアは、ほぼ一次元的と言えるほど異方的であるが、圧力下で超伝導が出てくる領域ではほぼ準ニ次元的ともいえる様相を示している。このことは一次元から二次元へのクロス・オーバーが圧力下で起こっていることを示しており、この超伝導は異方的ながら二次元系を舞台に起こっていることが示された。 2.常圧下での非弾性中性子散乱実験によると、Caの濃度如何にかかわらず、スピン・ギャップの値はほぼ30meVであることが判明した。更にCa濃度x=11.5の領域では梯子方向の交換相互作用の大きさは90meVであり、それに垂直な横木方向は65meVであることが判明した。 3.2.で述べた結果によると、この系はスピン液体状態であると思われていたが、比熱、磁気測定及び中性子散乱の実験結果から基底状態はT_N=3Kにネール点を持つ反強磁性構造であることが判明し、中性子回折の結果から反強磁性磁気構造が決定された。
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[Publications] 秋光 純 永田 貴志: "梯子格子系の超伝導と磁性"固体物理. Vol.34. 159-171 (1999)
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[Publications] J.Akimitsu et al.: "Spin and Charge Dynamics in the Hole-Doped Two-Leg Ladder Compound Sr_<14-X>Ca_XCu_<24>O_<41>"Phys.Chem.Trans.Met.Oxi.. 125. 289-298 (1999)