1999 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域分光法によるガラス転移のダイナミクスの研究
Project/Area Number |
10440115
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 誠治 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (90134204)
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Keywords | ガラス / ダイナミクス / アルコール / 緩和 / 誘電分散 / 光散乱 / 広帯域 / 分光 |
Research Abstract |
平成11年度は、低い周波数帯はインピーダンスアナライザーと時間領域反射法をくみあわせた広帯域誘電分光(1mHz-10GHz)、高い周波数領域は干渉分光と回折光子分光器をくみあわせた広帯域光散乱法(1GHz-100THz)により調べることによって、超広帯域分光法によりガラス転移の緩和現象などのダイナミクスの研究を可能にした。 広帯域誘電分光測定では、典型的なガラス形成液体として知られる低級アルコールについて液体、過冷却液体状態からガラス状態に至る広い温度領域で誘電分散を測定し、アルコールの分子におけるアルキル基の長さの変化がどのように遅い緩和過程に効いてくるか、またアルキル基につく水酸基の重水素置換が遅いベータ過程にどの様な変化をもたらすかを系統的に調べた。 また、光散乱では昨年度末に導入したサンダコック型ファブリペロー干渉系に今年度導入した干渉計安定化及び制御ユニット並びに入射ピンホール-出射ピンホール光学系、光子計数装置を組み合わせてブリルアン散乱測定系を構築し、さらに温度依存性の測定のためにクライオスタットの整備を行うことにより窒素温度から600度までの広い範囲で散乱スペクトルを取れるようなシステムを完成させた。この測定系を用いてガラス形成物質の一つであるポリスチレン、類似の緩和現象を示すリラクサー強誘電体の速い緩和過程についての温度依存性の測定を行い、現在半古典的トンネルモデル等による解析が進行中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] I.S.Park,K.Saruta and S.Kojima: "Calorimetric and Dielectric Investigations of Glass Transition"J.Thermal Analysis & Calorimetriy. 8. 687-693 (1999)
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[Publications] S.Kojima and M.Kodama: "Boson Peak in Alkali Borate Glass"Physica.B. 263-264. 336-338 (1999)
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[Publications] I.S.Park,M.Mikami,S.Kojima: "Dynamics of Liquid-Glass Transition in Propanol"AIP Conf.Proc.. 469. 306-309 (1999)
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[Publications] I.S.Park,M.Mikami and S.Kojima: "Slow Dynamics in Glass-Forming Propylene Glycol Monomethyl"J.Korean Soc.. 35. S1350-S1353 (1999)
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[Publications] Y.Takagi,T.Yano and S.Kojima: "Temperature Dependence of Depolarized Spectra in n-propanol"Physica.B. 263-264. 306-309 (1999)
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[Publications] I-S.Park,K.Saruta and S.Kojima: "Broadband Dielectric Relaxation of Glass Transition in the Intermediate"J.Mol.Crys.&Liq.Crys.. 322. 329-334 (1999)