1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
弘津 俊輔 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (40016069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡嶋 孝治 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70280998)
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Keywords | ゲル / 電解質高分子 / イオン性ゲル / 電位分布 / pH分布 / 体積相転移 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、イオン性ゲルにおける最も基本的な量である、ゲル内外の平衡電位および対イオン(可動イオン)の空間分布を、実験・理論の両面から追求する事であり、本年度の研究実施計画は、ゲル内の電位分布と対イオン濃度の分布を決定することであった。以下、それらにつき、研究の進行状況を述べる。 1) 電位分布の測定: 倒立型顕微鏡、ガラスピペット電極、マニピュレータ、及びエレクトロメータを組み合わせて、ゲルの局所的電位測定装置を構成した。現在、装置の調整中であるが、近日中に測定に取りかかれる見込みである。特に、表面層と内部での電位の差、および内部での電位不均一性に注目して、測定を行う。 2) 局部的pHによる対イオン濃度の空間分布の決定: 予備測定としての微少pH電極(電極部0.1mm)を用いたpH測定を行った。その結果、20mMのアクリル酸を含むN-Isopropylacrylamide(NIPA)ゲル(総濃度700mM)で、表面から内部への電位勾配が観測できた。この方法では0.1mm以下の分解能は得られないが、このようなスケールでも電位分布が観測されることは、表面層がかなり厚いものであることを示唆する。今後は、pH感受性色素を用いる方法で、より詳細な測定を行う予定である。 3)イオン性ゲルにおける構造形成: 正及び負のイオン性基を等量づつ含むNIPAゲルの熱測定において、体積相転移が、2段階で起こることが見いだされた。体積相転移が、近接した温度での逐次転移として起こることは、従来知られていない初めての現象であり、網目の中に特殊な構造が形成されていることを示唆する、非常に興味深い結果である。今後は熱測定、膨潤測定、弾性率、電位分布などから、新しい内部構造の解明を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shunsuke Hirotsu: "Anomalous Kinetics of the Volume Phase Transition in Poly-N-Ispropylacrylamide Gels" Jpn.J.Appl.Phys.37. L284-L287 (1998)
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[Publications] T.Okajima,S.Hirotsu: "Study of probe-surfece Interaction in Shear-Force Microscope" Ohtical Review. 5. 303-309 (1998)
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[Publications] 岡嶋孝治,弘津俊輔: "高分子ゲルの体積相転移Kineticsの網目構造依存性" 第10回高分子ゲル討論会講演要旨集. 79 (1999)
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[Publications] 西尾一史,弘津俊輔: "FTIRによるN-イソプロピルアクリルアミドゲル内の高分子網目と溶媒との相互作用の研究" 第10回高分子ゲル討論会講演要旨集. 37 (1999)