1999 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡散逸系に見られるパターン形成 -液晶の散逸構造のダイナミックス-
Project/Area Number |
10440117
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20112295)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 芳樹 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70274511)
|
Keywords | 電気流体力学 / 散逸構造 / 液晶 / ソフトモード乱流 / 対称性 / ゴールドストンモード / 回転対称性 / 磁界依存性 |
Research Abstract |
系固有の対称性が散逸構造のダイナミックスにどのような影響を与えるかを解明することは、対称性の議論から理論を構築している現在の非線形動力学や非平衡散逸系の物理には極めて重要な問題である。最近、液晶の電気対流が対称性を自由に制御できる点で大きく注目されるようになった。このような観点を背景に研究を行い、今年度には次のような成果を得た。 (1)昨年度に引き続き高周波数領域におけるシェブロン・パターンダイナミックスの研究を行い、シェブロン形成過程とその形態より少なくとも以下の3つの異なった構造に分類できることが分かった。 i)大きなロールによって形成されるシェブロンA。周期欠陥をもつもの(DMC)と欠陥なし(DFC)に分類される。DMCの形成過程は、ロール不安定性→アブノーマル不安定性→欠陥カオス→シェブロンAと発展し、一方DFCは、周期的ディレクター変形→対流不安定性(シェブロンA)と直ちに欠陥カオスからシェブロンへと発展する。DMCについては、そのパターンダイナミックスが欠陥のチューリング型不安定に起因して局所集合し、DMCが形成されることが明らかになった。このタイプはバルクの対流が支配的で、界面から離れた中心付近の対流不安定性がパターン形成に携わっている。このため本質的にバルク・ディレクターは連続回転対称であり、ホメオトロピック系と同様の対称性をもつとみなせる。 ii)極めて細いロールが傾くことによって形成されるシェブロンB。この形成機構については今後の研究課題である。 (2)連続回転対称性をもつホメオトロピック系でのパターンダイナミックスについては、新しく詳細な磁界-周波数-電圧下における相図が完成され、パターンの分類をその特徴が整理されつつある。
|
-
[Publications] 日高 芳樹: "ゴールドストン・モードの存在する対流系における時空カオス"京都大学数理解析研究所講究録. 1081. 1-9 (1999)
-
[Publications] Jong-Hoon HUH: "Novel Pattern Transition Scenarios in Electroconvection in Homeotropic Nematics under Magnetic Field"京都大学数理解析研究所講究録. 1081. 10-18 (1999)
-
[Publications] 森 信彰: "液晶の電気流体力学的不安定性におけるシェブロン・パターンの多様性"京都大学数理解析研究所講究録. 1081. 19-29 (1999)
-
[Publications] Jong-Hoon HUH: "Formation Scenarios for Nonlinear Patterns in Electroconvection under Controlling Goldstone Modes in Magnetic Field"Journal of the Physical Society of Japan. 38・5. 1567-1577 (1999)
-
[Publications] Yoshiki HIDAKA: "Pattern Formation in Electroconvection of Nematics under Spatially-Periodic Force"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 328. 565-572 (1999)
-
[Publications] Jong-Hoon HUH: "New Scenario to Spatio-Temporal Chaos in Normal Rolls Regime with Magnetic Field in Electroconvection of Homeotropic Nematics"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 328. 497-504 (1999)