2000 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡散逸系に見られるパターン形成-液晶の散逸構造のダイナミックス-
Project/Area Number |
10440117
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20112295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 芳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70274511)
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Keywords | ソフトモード乱流 / 対称性 / パターン形成 / 電気流体力学的不安定性 / ゴールドストンモード / ホメオトロピック配向 / プレウェービー / シェブロン |
Research Abstract |
系固有の対称性が散逸構造のダイナミックスにどのような影響を与えるかを解明するために、対称性の観点から研究を行い、研究期間内に次のような成果を得た。対称性にあまり依存しないで現れる振動対流モード(シュブロン)の研究を行い、その伝搬・周期欠陥構造の分類と分岐過程を明らかにした。すなわち、シェブロン形成過程とその形態より少なくとも4つの異なった構造(シェブロンA、Bおよび周期欠陥型(DMC)、欠陥なし(DFC)に分類できる。DMC、DFCの分岐過程は、互いに異なり、DMCについては、そのパターンダイナミックスが欠陥とディレクター場との間の競合不安定、いわゆるチューリング型不安定に起因して生じる。このタイプは境界の性質とは無関係に、本質的にバルク・ディレクターは連続回転対称であり、ホメオトロピック系と同様の対称性をもつとみなせることが分かった。 また、この領域ではシェブロンが生まれる前に特異なマクロ構造(プレウェービー)が観測され、この構造と同時に観測される対流との間の関係が調べられた。その結果、対流構造とマクロ構造には相関が見られないことが明らかとなった。マクロ構造は静的な周期構造であるが、対流は乱雑な流れであり速度・方向とも一定していない。にもかかわらず周期配向が安定に存在する機構については今のところ明らかになっていない。それらの温度依存性や電界周波数依存性等について調べられた。 以上のように同じ物質での同じような不安定現象でありながら、その初期の対称性をわずかに変えることで形成されるパターンやそのダイナミックスに大きな相違が現れることが明らかになった。これらの詳細を明らかにし、対称性によらない普遍ダイナミックスと対称性に依存する個別ダイナミックスとを分類し解明することが期待される。
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[Publications] Jong-Hoon HUH et al.: "Pattern formation of chevrons in conduction regime in homeotropically aligned liquid crystals"Physical Review E. 61・3. 2769-2776 (2000)
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[Publications] Osamu INOMOTO et al.: "Nonsteady Condensation and Evaporation Waves"Physical Review Letters. 85・2. 310-313 (2000)
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[Publications] 日高芳樹 et al.: "液晶におけるパターン形成"日本液晶学会誌. 4・3. 219-234 (2000)
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[Publications] Osamu INOMOTO et al.: "Noise-Induced Entrainment in Two Coupled BZ Oscillators"Forma Jpn.. 15・3. 219-225 (2000)
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[Publications] 甲斐昌一: "バイオミメティックスハンドブック"エヌ・ティ・エス出版. 1139 (2000)