1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 長 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20011596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀文 高地大学, 教育学部, 助教授 (80108191)
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Keywords | 古地磁気データ / 古地磁気強度 / 逆問題 / 古地磁気永年変化 |
Research Abstract |
古地磁気データが,(1)同時のものでなく時間的な変動が含まれている,(2)主に得られる方向(付角,偏角)が磁場を特徴づけるガウス係数と非線型の関係を持つことを考慮し,これらの条件下で最適なインバージョンを行って過去の磁場の平均的な構造を求めるのがこの研究の目的である.このために本年度はおおむね下記のような成果をあげることができた. 1. 線形データのインバージョン 非線型の場合には,収束性の問題や解の一意性などさまざまな困難が存在する.一方非線形のデータ(X,Y,Z成分)なら通常の地球磁場解析法をそのまま利用して直ちに真の解が求められる.これまでに整備した古地磁気強度データは方向の情報も含んでおり,X,Y,Z3成分に変換可能である.古地磁気強度データは少ないが,過去1000万年の期間では地球上約20ヶ所に利用可能なデータがあり,これらを用いて3次までのガウス係数の平均値を求めることができた.この結果によれば,平均磁場は現在よりさらに双極子が卓越している(Kono,Tanaka,and Tsunakawa,JGR,印刷中,1999). 2. 古地磁気強度決定用測定器の製作 上のような古地磁気強度データの方向データに対する優位性は,もともとよく知られているところだが,実験の困難さのために方向データに比べて強度データは圧倒的に不足している.このような状況に対応できるように,全自動式の熱消磁・残留磁化装置を夏原技研の協力を得て作成した.現在ソフトウェアの開発中だが、完成すると大幅な省力化と実験のスピードマップが可能なだけでなく,試料の付け変えに起因する方向誤差を完全になくして,質の高いデータが得られるものと期待される.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sakuraba,A.and M.Kono: "Effect of the inner core on the numerical solution of the magnetohydrodynamic dynamo" Phys.Earth Planet.Inter.(in press). (1999)
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[Publications] Kono,M., H.Tanaka, and H.Tsunakawa: "Spherical harmonic inversion of Paleomagnetic data: The case of linear mapping" J.Geophy.Res.(in press). (1999)
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[Publications] Udagawa,S., H.Kitagawa, ...and M.Kono: "Age and Magnetism of Lavas in Jokuldalur Area, Eastern Iceland: Gilsa Event Revisited" Phys.Earth Planet.Inter.(in press). (1999)
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[Publications] 桜庭 中,河野 長: "地球ダイナモの数値シミュレーション" 月刊地球. 20号. 288-292 (1998)
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[Publications] 河野 長: "“磁気工学ハンドフック",川西 健次・近角聡信・桜井良文偏" 「地球磁気現象」, 1204-1209 (1998)