1998 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙空間に拡散する酸素イオン撮像の為の光学系の研究
Project/Area Number |
10440135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 正人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20227937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩上 直幹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30143374)
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Keywords | 酸素イオン / ポーラーウィンド / 共鳴散乱 / プラズマ撮像 |
Research Abstract |
地球極域から宇宙空間に拡散する酸素イオン(ポーラーウィンド)が太陽極端紫外光を共鳴散乱する事を利用して撮像を行うための光学系の研究に本年度から入った。この際問題となるジオコロナ(ライマンα線)を除去するためのフィルター及び吸収セルの開発を始めた。 1. フィルターとして83.4nmの酸素の共鳴線を良く透過しライマンα線を透過させないインジウムが適当である。しかしインジウムは大気中で数週間のうちに酸化が進行し透過率が悪くなることが報告されている。酸化による影響を調べるために厚み280.5nmのインジウムフィルターの透過率を2週間毎に測定した。測定期間外は窒素ガス中に保存した。透過率は83.4nmで0.090〜0.084であり理論値より低い事が判つ。因みにライマンα線については測定装置の測定限界以下であり,10^<-6>以下であることしか言えない。透過率は酸化が進行しているため時間の経過に伴って徐々に悪くなる事が判った。酸化の進行が止まるのかどうか,止まるとすればどこで止まるかは来年度以降継続して実験を進める。 2. 吸収セルの窓材をインジウムフィルターとする為の基礎試験を行った。この吸収セルの問題点は,厚みが数百nmのインジウムフィルターの耐圧能力である。窓材をフッ化マグネシウムとして実用化されている吸収セル内の水素ガスの圧力は3Torrであるため,宇宙空間でフィルターがこの圧力で破れない強度を持つ必要がある。そこでフィルターの両側に圧力差を作れる実験装置を作り,フィルターの強度試験を行った.その結果5Torrの圧力差まで保つ事を確認した。これにより吸収セルの水素ガス圧力を実用化されたセルと同じにして、窓材をインジウムフィルターとする吸収セルが原理的に可能であることが判った。
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