1998 Fiscal Year Annual Research Report
地球電離圏から磁気圏へ供給されるイオンの加熱・加速・輸送過程、流出量の定量的研究
Project/Area Number |
10440138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
平原 聖文 立教大学, 理学部, 講師 (50242102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 利典 宇宙科学研究所, 太陽系プラズマ系, 教授 (60013695)
笠原 禎也 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50243051)
阿部 琢美 宇宙科学研究所, 惑星大気系, 助教授 (40255229)
三宅 亙 郵政省通信総合研究所, 宇宙科学部, 主任研究官
渡部 重十 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90271577)
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Keywords | 電離圏起源イオン / ポーラーウインド / イオンコニックス / イオン流出 / イオン加熱・加速 / プラズマ波動 |
Research Abstract |
今年度は本研究の初年度ではあるが、科学雑誌に成果を掲載する準備が整いつつあり、一部は既に、投稿・受理されている。以下に今年度の成果の概要を報告する。 まず、地球極域磁気圏探査衛星「あけぼの」搭載のアナログ広帯域受信機を用いて、イオン加熱・加速現象に関与すると考えられる極域低周波ノイズの波形解析を行なった。その結果、このノイズは定在する低周波部のランダムノイズと、時折突発的に発生するスパイク状のノイズが重畳したものである事が明らかになった。絶対強度や出現頻度、アンテナ角依存性について現在詳しく解析中である。また、この様な波動により生成されるイオンコニックスの出現頻度を、あけぼのデータを用いて統計解析し、高度とピッチ角の関数として得た。この出現頻度を単純なモデルを使って検討した。その結果、イオンの断熱運動からのずれ、ExBドリフトの影響、他の電離圏流出イオン現象への移行を考慮する必要が指摘出来た。 更に、極域に存在するイオン流の中で低エネルギーの電離圏流出イオン現象であるポーラーウインドに注目し研究を遂行した。この結果として次の2点が新たに見出された。イオン加速に対する光電子の寄与率が、従来の理論で予想されていた以上に大きい事、それに、光電子による寄与は低高度において顕著で、より高高度ではプラズマの温度がイオン速度の決定に支配的である事である。 また、あけぼのと他観測データとの比較を以下の2課題に着目して行った。あけぼの衛星とEISCATレーダーとの同時観測データを詳細に解析した結果、沿磁力線電流が存在する領域でELF帯の静電波が発生し電離圏イオンが加熱されている事が明らかとなった。2基のEISCATレーダーによるイオン温度観測は温度の非等方性がイオン流の発生領域に存在していることを明らかにした。これらの結果は米国地球物理学会で発表されている。また、磁気圏尾部探査衛星「Geotail」による観測データとの比較より、あけぼの衛星で観測される電離圏流出イオンの電離圏への再降り込み現象と同じイオン分布が磁気圏尾部のプラズマシ一ト中でも認められ、これらが、電離圏から磁力線沿いに加速され、閉じた磁力線上をバウンス運動する電離圏起源イオンによるものである事が指摘された。この成果も国際学会で発表され、論文投稿中である。
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