1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 博貴 熊本大学, 理学部, 助教授 (80274687)
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Keywords | 炭酸塩堆積物 / 続成作用 / 海水準変動 / 気候変動 / 炭素・酸素同位体組成 |
Research Abstract |
平成10年度には,初期の続成組織ならびに安定同位体組成がより保存されていると考えられる喜界島・久米島・与那国島・南大東島の更新統一完新統炭酸塩堆積物について,地表調査ならびに岩石試料を基に,陸水性続成作用のメカニズムならびに時間スケールについて検討を実施した. 久米島: 完新統砂丘砂層を対象として,5ルートを選定し詳細なルートマップならびに柱状図を作成し,それに基づき岩石採取・試料分析を実施した.その結果,約4,000年前に堆積したと推定される砂丘砂層下部では,既に低Mg方解石による固結化が進み,生物粒子組成から推定される初生炭酸塩鉱物組成と比較し,明らかな低Mg方解石の増加が認められる.その増加速度は,7〜15%/kyであることが判明した. 喜界島: 更新統一完新統炭酸塩砂丘砂層を対象として,堆積年代の異なる砂丘砂層における陸水性続成作用の違いについて検討した.その結果,陸水性続成作用の進行に伴う低Mg方解石増加ならびに炭素・酸素同位体組成の変化は,地表露出期間よりも堆積以降の経過期間に規定され,低Mg方解石の増加速度は1.93〜2.43%/ky,炭素・酸素同位体組成の負へのシフトの速度は,各々0.13〜0.17‰/ky,0.08〜0.10‰/kyであることが判明した. 与那国島・南大東島: 詳細な地表調査を実施し,それに基づき岩石試料を採取した. また各続成ステージの生成物の認定,ならびにセメント層序学適用のため,カソードルミネッセンス装置を導入しセットアップすると同時に,東南アジア中新統炭酸塩岩を用いてカソードルミネッセンス像観察を実施した. 尚,本研究の一部は,日本地質学会第105年学術大会,ならびに平成10年度炭酸塩コロキウムにおいて発表すると共に,現在,投稿準備中である.
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