1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440152
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒井 章司 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20107684)
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Keywords | 海洋地殻 / 中央海嶺玄武岩 / オマーン・オフィオライト / ハルツバーガイト / レールゾライト / ダナイト / 拡大速度 |
Research Abstract |
それぞれ高速、低速拡大軸の海洋マントル起原であるオマーン・オフィオライトのマントル部分、およびリザードかんらん岩体の岩石学的研究を行い、実際の海洋底の岩石との比較を試みた。オマーン・オフィライトではハルツバーガイトが卓越する。このスピネルのCr♯は0.5〜0.6で、太平洋ヘス・ディープなどで見い出されているものに類似する。ただし、太平洋では未発見のレールゾライトがかなり普遍的に存在しており、海洋底の試料では不可能なレールゾライトからハルツバーガイトへの溶け残り岩の変化を調べることができそうである。さまざまなオルソパイロクシナイトをダナイトが置換していることから、MORBの化学的性質の獲得に際しての斜方輝石の分解溶融の重要性が再確認される。調和性ダナイトのスピネルのCr#は0.5〜0.6である。オマーン・ オフイオライトにおいては海嶺軸での生成物と島弧下(多分)での生成物の分離が極めて深刻な問題であり、今後の大きな課題となる。リザードかんらん岩については、オフィオライトのメンバーであるとする考えと、大陸性の高温高圧かんらん岩の迸入岩体であるという説があるが、単斜輝石のNa含有量は低く、海洋底のかんらん岩との類似性が高い。スピネルのCr#が0.1〜0.5のレールゾライト〜ハルツバーガイトが卓越し、Cr#0.3程度のスピネルを含む調和性ダナイトをしばしば伴う。またこの組み合わせは低速拡大軸下でのマグマ生成/移動を考える上で重要であろう。リザードではかんらん岩体北東端でダナイト-トロクトライト-ガブロがーレールゾライト/ハルツバーガイトとモホ遷移帯と類似の反応帯を作っている。このダナイトなどはスピネルのTiがMORB関連のマグマから予想される以上に著しく高く、プレート内マグマの関与が考えられる。従って、この部分は海嶺軸とは無関係に形成されたものであろう。
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[Publications] 荒井章司: "海洋底およびオフィオライトの深部岩石からみたMORBの成因"月刊地球. 21. 333-338 (1999)
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[Publications] Kadoshima, K. & Arai, S: "Primary petrological characteristics of peridotites in the Sangun zone of northern Kyushu"Jour. Mineral. Petrol. Econ. Geol.. 94. 97-108 (1999)
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[Publications] Shukuno, H. & Arai, S: "Olovine spinel compositional relationships of the Genozoic alkali ba salts from Southwest Japan"Jour. Mineral. Petrol. Econ. Geol.. 94. 120-140 (1999)
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[Publications] Arai S, Prichard, H. M. et al.: "Platinum-group minerals in podiform chromitite from the Kamuikotan Zone, Hokkaido, Japan"Resource Geology. 49. 39-47 (1999)
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[Publications] 田村明弘,牧田宗明,荒井章司: "北海道、神居古潭のがんらん者の成因"地質学論集. 52. 53-68 (1999)
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[Publications] 上杉次郎,荒井章司: "長野県みかぶ帯・塩川がんらん岩体"地質学論集. 52. 229-242 (1999)