1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440156
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
大隅 一政 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (70011715)
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Keywords | 惑星間塵 / 放射光X線 / 微小結晶 / 変調構造 / 新鉱物 |
Research Abstract |
本研究の目的は米国航空宇宙局ジョンソンスペースセンター(NASA/JSC)がスペースシャトルによって収集したミクロン径程度の微小な惑星間塵からそれに含まれる複数の鉱物種を同定し、得られる構造・組織・結晶性といった結晶学的情報を押出して、その惑星間塵の成因・履歴等を解明し、太陽系の物質進化論に資することである。以下に今年度の研究実績を述べる。 前年度に解析を始め、3C型磁硫鉄鉱であると決定した惑星間塵L2005AG17の構造解析を行なった。3C型磁硫鉄鉱はこれまで合成試料による解析例が2件あるが、何れも化学組成はFe_<0.875>Sである。この惑星間塵には上述の3C型磁硫鉄鉱の他に、微粉末状の磁鉄鉱(Fe_3O_4)が含まれることが昨年の解析から明らかにされている。これらの結果を受けて再度試料全体の詳細な化学組成を分析した結果はFe_<0.823>Sとなった。従って、本試料中の結晶は従来報告されている3C型とは組成が異なるため、異なる構造であることから新たに構造解析を行った。その結果、本試料の3C型の構造模型が明らかになった。得られた構造から化学組成はFe_<0.5>Sである。残余のFeは磁硫鉄鉱に含まれるものの他、純鉄として存在する可能性もある。 前年度の成果を含めてこれまで行ってきた数種類の惑星間塵の解析結果を「第48回デンバー会議(Denver X-ray Conference、米国コロラド州)」において招待講演として発表した。 今年度は本科研費補助金の最終年度であるから、共同研究者のゾレンスキー博士(米国航空宇宙局、NASA)が昨年(平成11年)10月に我々との共同実験のため高エ研放射光研究施設を訪れた際に博士と今後の共同研究の進め方について検討した。
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