1998 Fiscal Year Annual Research Report
火山、熱水、堆積環境における硫黄族元素の形態と挙動
Project/Area Number |
10440158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 穆一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90012426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 基之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10167645)
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Keywords | 火山 / 熱水 / 堆積物 / 硫黄 / セレン / ポロニウム / ラピス・ラズリ / 存在状態 |
Research Abstract |
平成10年度の研究計画では (1) ^<210>Poの熔融硫黄試料からの分解抽出および発光分光学的検出法の開発 (2) ラビス・ラズリ生成条件下における硫黄化合物のキャラクタリゼーション (3) 堆積環境における有機物への硫黄の移動過程の解明 の三点を推進する予定であった。(1)についてはGC-AED設置後研究代表者が長期入院したので見るべき進展は無いが、GC-AEDの運転技術を習得し、その特性を把握したので、実試料の分析の用意が整った状況である。(2)についてはラビス・ラズリ生成条件下の硫黄化合物のラマシスペクトルを得るためには、分光器の検出感度が不十分であることが判明したため、光学系の改造に努めた。およそ5倍の感度上昇が見込まれる。(3)については多摩川河口域の堆積物について鉄と硫黄の動きをMoessbauer分光法により調べた。その結果海水由来の硫酸イオンがバクテリアにより還元されて生じた硫化物イオンはケイ酸塩鉱物から徐々に放出されるFe^<2+>と反応して無定形硫化鉄およびpyriteを生成するが、前者は深さと共に存在量が増加するのに対して、後者は20〜40cmで最大値を示すことが明かとなった。常磁性のFe^<2+>は二つの存在状態にあることが判明した。ひとつは空気乾燥で酸化しないケイ酸塩の中のFe^<2+>であり、もう一つは空気乾燥下で容易に酸化する無定形硫化鉄である。pyriteはこの無定形硫化鉄に硫黄が付加して徐々に形成されると思われるが、特定の深さで最大分布を示すことから、付加する硫黄の化学形態に特別の条件があるものと推定された。堆積物間隙水のチオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、有機硫黄等が複雑に作用しているものと思われる。
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[Publications] A.Kuno, M.Matsuo and B.Takano: "Mosbauer Spectroscopic Study on Vertical Distribution of Iron Components in estuarime sediments collected from Tama River in Tokyo" Hyperfine Interactions. C3. 328-331 (1998)
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[Publications] B.Takano and Zhemg Qun: "A Telemetering System for Monitoring Polythionates in Active Crater Lake" Journal of Valcanology and Geothermal Research. (1999)
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[Publications] B.Takano, S.M.Fazlullin and P.Delmelle: "Analytical Laboratory Comparison of Major and Minor Constituants in an Active Crator Lake" Journal of Valcanology and Geothermal Research. (1999)