2000 Fiscal Year Annual Research Report
磁場高速ジャンプによる常磁性種の量子コヒーレンス観測
Project/Area Number |
10440164
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村井 久雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50142261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 公憲 筑波大学, 化学系, 講師 (70229300)
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Keywords | 過渡吸収検出磁気共鳴 / 反応制御 / テトラフェニルヒドラジン / radical pair / ミセル / 量子ビート / スピンロッキング / スピン化学 |
Research Abstract |
本研究は、凝縮相光化学反応系における光反応直後のラジカル対の電子に関する量子コヒーレンスと原子核コヒーレンスを観測し、スピン動力学および反応との関連をラジカル反応に関して深く探究することを目的とした。手法は、1)ラジカル対存在下で外部磁場をジャンプさせ、あるいは、2)磁気共鳴条件においてマイクロ波磁場を高速でジャンプさせ、その直後から現われる磁気モーメントあるいは化学反応の変化を検出することにより行われた。今年度は昨年度に引き続き2)の手法をSDSミセル中における幾つかの系へ応用することを試みた。キサントンとフェノール誘導体をSDSミセル中で光励起し、生じたラジカル対による光過渡吸収信号に量子コヒーレントビートを観測した。そのビートの振動数とマイクロ波磁場の定量的関係から、この現象はラジカル対内における電子スピンのマイクロ波によるスピン状態遷移に相当し、ラジカル対は一重項状態からの再結合反応をしているという結論に達した。強いマイクロ波照射では、通常の1スピンによるビートと同時に2スピンによるビートが観測され、その減衰機構に関して理論計算を行い、異方的磁気双極子相互作用による三重項・三重項位相緩和がその機構に寄与していることを明らかにした。さらに、一重項状態が前駆体であるテトラフェニルヒドラジン/SDSミセル系に関しても同様の研究を行い、180度パルスによる高効率反応制御と一重項スピン状態からの反応速度定数の決定を行った。 この研究を通して、静磁場あるいは電磁波の磁場を高速でパルス化することによる量子力学的スピンのダイナミクスが明らかとなり、その過程で化学反応の速度定数、スピンの緩和速度等物理定数に関しての定量的決定が可能なことを示すことができた。
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[Publications] Y.Araki: "Observation of two-spin contorolling of a radical pair by pulsed irradiation of microwave monitored by absorption-detected magnetic resonance."Chem.Phys.Lett. 332. 515-520 (2000)
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[Publications] T.Itoh: "Validity and Possibility of Photoconductivity Detected Magnetic Resonance Method as One of RYDMR Methods."Chem.Phys.Lett. 333. 242-247 (2001)
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[Publications] Y.Iwasaki: "Time-Domain Observation of External Magnetic Field Effects on the Delayed Fluorescence of N,N.N',N'-Tetramethyl-1,4-phenylenediamine in Alcoholic Solution."J.Phys.Chem.(A). (印刷中). (2001)
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[Publications] H.Murai,: "Time-Resolved Reaction Yield Detected Magnetic Resonance(RYDMR)Studies on Spin Dynamics of Radical Pairs in Photochemical Systems."Recent Res.Devel. in Physical Chem.. (印刷中). (2001)
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[Publications] M.J.Davis 他: "Electron paramagnetic resonance / Specialist Periodical Reports"The Royal Society of Chemistry. 332 (2000)