2000 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解赤外分光法による組織化液体の構造ダイナミックスの研究
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10440176
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 博厚 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10029952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 弘 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60222395)
大野 啓一 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50033858)
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Keywords | 組織化液体 / 構造ダイナミックス / 時間分解赤外分光法 / コンホメーション / 非イオン界面活性剤 |
Research Abstract |
平成12年度は,時間分解赤外分光法の開発とポリオキシエチレン系化合物のコンホメーション解析を行った。時間分解ATR赤外分光で用いるストップトフローミキサーに,ストップトフロー用のATRセルを結合し,効率の良い結果を得るために種々の調整を行った。ATR基板は,測定する水溶液の屈折率などを勘案してセレン化亜鉛とし,入射角度を45゜,最小測定領域を8mmφとした。さらに,分光器の光学系とのマッチングをとることにより,損失が少なく最大限の光が利用できるように設計した。このようにして,これまで研究例のなかった時間分解ATR赤外分光測定の装置を組み立て,試験的な測定を行った。 ポリオキシエチレン系化合物として,エチレンジオキシ基(OCH_2CH_2O)を有する3種類のエーテル,すなわち1,4-ジオキサン,1,2-ジメトキシエタン及びジエチレングリコールジメチルエーテルのクロロホルム溶液中の水素結合について赤外分光法により研究した。これらの溶液中に少量加えた重水素化クロロホルムのC-D伸縮バンドの強度をエーテル-クロロホルム間水素結合の強さのプローブとして用いた。解析の結果,エーテル酸素の孤立電子対はすべて等しくクロロホルムとの水素結合に関与していないことが明らかとなったが,これはおそらく立体障害によるものと考えられる。また,クロロホルム分子は非環状エーテル分子との間で強い二分岐型水素結合を形成することが実験結果から示された。さらに非経験的分子軌道計算により,二分岐型3中心水素結合の存在が確かめられた。3中心水素結合は,通常の水素結合より2倍強いので,種々の水素結合性溶媒のポリオキシエチレン溶液において実際には生じていたであろうこの普遍的な現象を見落としていた可能が高い。 本研究の成果として,時間分解ATR赤外分光測定法が可能であることを示し,研究対象とするポリオキシエチレン系化合物のコンホメーション解析を行うことができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nikolay Goutev: "Raman Spectroscopic Study on the Conformation of 1,2-Dimethoxyethane in the Liquid Phase and in Aqueous Solutions"Journal of Physical Chemistry A. 104(40). 9226-9232 (2000)
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[Publications] Koichi Fukuhara: "High-Pressure Infrared Spectroscopy of Molecular Conformations of Diblock Oligomers α-Decyl-ω-hydroxyoligo (oxyethylene) s in the Solid State"Chemistry Letters. 2000(11). 1322-1323 (2000)
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[Publications] Akimitsu Tonegawa: "Conformational Dynamics of Alkyl Chains in the Lamellar Phase of a Nonionic Surfactant C_<12>E_3 Studied by Deuterium Nuclear Magnetic Resonance"Chemistry Letters. 2000(4). 324-325 (2000)
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[Publications] Shaheda A.Wahab: "Temperature Dependence of the Anomalous Conformational Behavior of a Short-Chain Poly (oxyethylene) in Water Studied by Raman Spectroscopy"Chemistry Letters. 2001(3). 198-199 (2000)
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[Publications] Koichi Fukuhara: "Conformational Transformation of Nonionic Surfactants α-Decyl-ω-hydroxyoligo (oxyethylene) s (C_<10>E_m) in the Solid State with Addition of Water"Chemistry Letters. 2001(3). 256-257 (2001)
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[Publications] Nikolay Goutev: "Hydrogen Bonding in Chloroform Solutions of Ethylenedioxy Ethers. Experimental Evidence of Bifurcated Hydrogen Bonds"Journal of Physical Chemistry A. 105(印刷中). (2001)