1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の疎水性会合および油状状態の構造と性質に関する研究
Project/Area Number |
10440197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
横山 晴彦 横浜市立大学, 理学部, 教授 (10094319)
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Keywords | X線回折 / 溶液構造 / 疎水性会合 / スタッキング / 超分子 / フェナントロリン / 白金錯体 / パラジウム錯体 |
Research Abstract |
1. エチレンジアミン1,10-フェナントロリン白金(II)酢酸塩、[Pt(en)(phen)](Ac)_2およびエチレンジアミン1,10-フェナントロリンパラジウム(II)酢酸塩、[Pd(en)(phen)](Ac)_2を合成した。 2. [Pt(en)(phen)](Ac)_2および[Pd(en)(phen)](Ac)_2の存在により、1,10-フェナントロリン(phen)、4,7-フェナントロリン、2,2'-ビピリジンなどの水に対する溶解度が大幅に増大すること、phenの場合は錯体と同濃度まで容易に溶解し、約2倍濃度まで過飽和状態で溶解しうることが分かった。 3. 上記錯体とphenのモル比が1:1で溶解した水溶液について、試料水平ゴニオメータを用いてX線回折測定を行った。いずれも2θ-X線回折強度のプロファイルの低角領域に特異的な鋭いピークが出現し、動径分布関数には30Å近傍まで周期構造が存在することが分かった。周期がphenの分子平面の厚みに近い3.5Åであったこと、白金(II)錯体とパラジウム(II)錯体の間の同形置換から得られた金属原子を中心とする動径分布関数にも周期構造が現れたことから、phen分子が錯体間に互い違いにスタッキングされた積層構造を持つ超分子が溶液中に形成されていると考えられた。モル比が1:2の過飽和水溶液についても同様の測定により類似の構造が存在するのが観測された。 4. 油状溶液を形成し2相分離するトリス(2,2'-ビピリジン)クロム(III)錯体の1-ナフタレンスルホン酸塩を、錯体の臭化物と1-ナフタレンスルホン酸銀の複分解から大量に合成する方法を確立した。ロジウム(III)錯体についても同様の方法により合成し、これらの溶液についてX線回折測定および電気伝導度測定を行う準備をしている。
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