1998 Fiscal Year Annual Research Report
メスバウアー分光法によるガドリニウムおよびエルビウム化合物の構造化学的研究
Project/Area Number |
10440200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
竹田 満洲雄 東邦大学, 理学部, 教授 (80011633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 孝史 東邦大学, 理学部, 講師 (60246767)
高橋 正 東邦大学, 理学部, 助教授 (30171523)
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Keywords | ガドリニウム化合物 / エルビウム化合物 / ^<155>Gdメスバウアー分光法 / ^<166>Erメスバウアー分光法 / メスバウアー分光法 / 緩和時間 |
Research Abstract |
合成したHo_<0.4>Y_<0.6>H_2を日本原子力研究所の原子炉で中性子照射し、^<166>Ho/Ho_<0.4>Y_<0.6>H_2メスバウアー線源(^<166>Hoの半減期は26.9時間)をそのつど自作し、これらを用いて^<166>Erのメスバウアースペクトルを12Kで測定し次の結果を得た。 (1) アセチルアセトン及びその誘導体を配位子とする10種のエルビウム(III)-β-ジケトン錯体を、ステレオマイクロスコープ付不活性ガス精製装置を用いて合成した。これらは12Kにおいて、いずれも常磁性磁気緩和メスバウアースペクトルを示した。緩和時間は0.1〜1nsであり、特にEr(fod)_3・H_2O(Hfodはへプタフルオロブタノイルピバロイルメタン)は最長の緩和時間1nsを示し、また有効内部磁場711Tによる5本に分裂した吸収ピークを示した。 同様の構造を持つと思われる六つの一水和物について緩和時間を比較したところ、最短Er-Erイオン間距離が大きくなると考えられる、配位子が嵩高いものでは、緩和時間が長くなる傾向を見い出した。配位構造の異なると思われる他の四つの化合物とNH_4[Er(edta)(H_2O)_2]・3H_2OとNa[Er(edta)(H_2O)_3]・2H_2Oの結果を合わせて考えると緩和時間と最短Er-Er距離の関係は単純ではないことがわかり、配位構造の違いによる結晶場効果も緩和時間に関与していることを示している。 (2) ErRh_3B_2とErRh_5では12Kで磁気的にオーダーしていることを示す5本の磁気分裂ピークを観測し、ErRh_3BとErRh_2では12Kで常磁性であることを示す単一吸収線を観測した。 また、^<154>Smpd_3合金を日本原子力研究所の原子炉で中性子照射し、^<154>EuPd_3メスバウアー線源を得、いくつかのガドリニウム化合物の^<155>Gdメスバウアースペクトルを12Kで測定し、良質なシングルライン線源の作成に成功したことを確認した。
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