1998 Fiscal Year Annual Research Report
超高速分光法による半導体/溶液界面における光励起初期過程の解明
Project/Area Number |
10440202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80176924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魚崎 浩平 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20133697)
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Keywords | 懸濁半導体粉末 / 光触媒反応 / 再結合速度定数 / 酸化チタン / 超短パルスレーザ / 励起子 / 電子-正孔再結合 / ポンププローブ法 |
Research Abstract |
半導体による光電極反応や、粉末系の光触媒反応における界面電子移動の素過程はサブピコ〜ピコ秒の非常に速い時間領域で進行することが知られており、近年超短パルスレーザーを用いた光励起電子と正孔の反応・再結合初期過程の追跡が行われている。しかしこれまでレーザーシステムの都合上、単一波長励起での測定しか行われていない。本研究では光励起電子と正孔の再結合初期過程をより詳細に検討するため、広範囲で波長変換可能なフェムト秒レーザーシステムを導入し、過渡吸収の励起波長依存性について検討した。 試料として、アナタース型とルチル型の結晶構造をそれぞれもつ酸化チタン粉末(触媒学会参照触媒)を用いた。フェムト秒過渡反射吸収分光法は、再生増幅されたモードロック型チタンサファイアレーザーからのパルス光(パルス幅100fs、波長790nm、繰り返し周波数1kHz)をシードとする2台の波長可変レーザー(パルス幅100fs、波長300nm〜10μm、繰り返し周波数1kHz)をポンプ光、プローブ光発生用として用い、酸化チタン粉末へのポンプ光入射前後の反射率変化を記録した。 プローブ光波長を620nmに固定し、ポンプ光(励起光)を短波長側から酸化チタンのバンドギャップ(アナタース:390nm、ルチル:410nm)近傍まで変化させ、過渡吸収を大気中で測定した結果、どちらの場合も、ポンプ光波長が長くなるにつれ全体の吸収が減少するとともに、ポンプ光入射直後に1〜2ps程度の寿命の非常に短い成分が観測された。このような変化が観測される励起光波長は両試料において約20nmずれており、これはちょうど2つの酸化チタン結晶のバンドギャップの差に相当する。バンドギャップ近傍で励起した際に観測される初期の速い減衰成分をもたらす要因については現在検討中であるが、光励起電子-正孔の再結合ダイナミクスは酸化チタンの結晶構造に依存せず、選択する励起光波長によって大きく異なることが示唆された。半導体試料の光特性を正確に評価するためには、励起波長を適切に選ぶ必要があることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] B.Ohtani: "Femtosecond Diffuse Reflectance Spectroscopy of Aqueous Titanium(IV)Oxide Suspension: Correlation of Electron-Hole Recombination Kinetics with Photocatalytic Activity" Chem.Lett.579-580 (1998)
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[Publications] H.Kominami: "Titanium(IV)Oxide Photocatalyst of Ultra-high Activity: New Preparation Process Allowing Compatibility of High Adsorptivity and Low Electron-Hole Recombination Probability" Catal.Lett.56. 125-129 (1998)