1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 憲道 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60149656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 徳太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50280938)
松下 信之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80219427)
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Keywords | スピンクロスオーバー / 混合原子価 / 多重機能性 / 低スピン・高スピン転移 / 原子価転移 / ソリトン / 光誘起 |
Research Abstract |
・ スピンクロスオーバー錯体の研究: Fe(II)イオンがトリアゾールによって架橋された一次元鎖の構造を持つ錯体は、室温付近に大きなヒステリシスを伴ったスピンクロス才ーバー挙動を示す。今年度はスピン転移温度およびヒステリシス温度領域を制御する目的として多種多様なスルホン酸イオンを対イオンとした[Fe(NH_2-trz)_3]錯体を合成し、系統的にスピンクロスオーバー転移の挙動を調べた。対イオンがアルカンスルホン酸イオンについては、アルキル鎖長が長くなるにつれて転移温度が上昇し、n=6以上では転移温度が飽和する傾向がみられること(分子ファスナー効果)、転移温度のヒステリシス幅とアルカンスルホン酸イオン(C_nH_<2n+1>SO_3^-)の炭素数との間に相関関係(even-odd effect)があることを見いだした。また、これらの現象と構造との相関を調べるためFeのEXAFSスペクトルを調べ相関関係について詳細な知見を得ることができた。 ・ 三次元Au混合原子価錯体の研究: 拡張ヒュッケル法によりペロプスカイト型Au混合原子価錯体Cs_2Au^1Au^<111>X_6(X=Cl,Br,I)のバンド構造の圧力変化を調べ、Au間電荷移動相互作用の圧力変化および半導体・金属転移の機構を調べた。また、単結晶メスバウアースペクトルを調べAu電子状態および電荷移動相互作用について詳細な知見を得ることができた。また、高圧下Raman散乱の測定を行い、Auの原子価が混合原子価状態から単一の原子価状態に転移する圧力誘起原子価転移を見いだした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.Ishikawa, N.Kojima, et al.: "A ^<35>Cl NQR Study on Cs_2〔Au^1Cl_2〕〔Au^<111>Cl_4〕." Z.Naturforschung. 53a. 590-594 (1998)
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[Publications] N.Matsushita, N.Kojima, et al.: "Crystal Structure of Mixed-Valence Gold Compound, Cs_2Au^1Au^<111>Cl_6 up to 18 GPa." Rev.High Pressure Science and Technology. 7. 329-331 (1998)
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[Publications] T.Hashimoto, N.Kojima, et al.: "Pressure-Induced Structural Phase Transition of LaCrO_3." Solid State Commun.108. 691-694 (1998)
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[Publications] T.Yokoyama, N.Kojima, et al.: "Spin-Crossover Phase Transition of a Chain Fe(II) Complex Studied by X-Ray-Absorption Fine-Structure Spectroscopy." Physical Review. B58. 14238-14244 (1998)
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[Publications] X.J.Liu, N.Kojima, et al.: "Pressure-Induced Phase Transition in Mixed-Valence Gold Complexes Cs_2Au_2X_6 (X=Cl and Br)." J.Chemical Physics. 110. (1999)
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[Publications] X.J.Liu, N.Kojima, et al.: "Electronic Structures of Gold Complexes; Cs_2Au_2X_6 (X=I, Br and Cl)." Physical Review. B59. (1999)
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[Publications] 小島憲道,他10名: "新しい配位子場の科学" (田辺行人監修,講談社), 276 (1998)