1998 Fiscal Year Annual Research Report
スピロ[3.3]骨格を有する高配位典型元素化合物の創製と新規反応の創出
Project/Area Number |
10440212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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Keywords | 5配位1,2-オキサホスフェタン / スピロ[3.3]ホスホラン / 5配位1,2-オキサシレタニド / スピロ[3.3]シリカート / 高配位典型元素化合物 / Wittig型反応 |
Research Abstract |
1. 1,5-ジオキサ-4λ^5-ホスファスピロ[3.3]へプタンについては計画通り合成できた。まず、ジエチルフェニルホスフィンオキシドに2当量のn-BuLiを作用させ、ジリチオ化した後、p,p'-ジクロロベンゾフェノンと反応させ、ビス(β-ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキシドを合成した。ジアステレオマー混合物を分離後、,Appelの試薬(Ph_3P-CCl_4)を用いて分子内環化脱水させたところ、目的の2,2,6,6-テトラキス(p-クロロフェニル)-3,7-ジメチル-1,5-ジオキサ-4λ^5-ホスファスピロ[3.3]へプタンが合成できた。それらが加熱下、二分子のオレフィンを与えることが分かり、結果の一部について速報として報告した。また、ホスフィンボランを経由する別途合成について検討したところ、ビス(β-ヒドロキシアルキル)ホスフィンにおいてヒドロキシ基の酸素とリン原子との間に相互作用があるという興味ある結果を得た。2.ケイ素類縁体についても計画通り合成できた。ジフェニルビス(フェニルチオメチル)シランをリチウムナフタレニド(LiNaph)処理をしてモノリチオ体とし、ヘキサフルオロアセトン(HFA)と反応させ、P-ヒドロキシアルキルシランを調製した。ヒドロキシ基をメトキシメチル保護後、LiNaph処理し、HFAを付加した後、脱保護することでビス(βヒドロキシアルキル)シランを合成した。これをCF_3SO_3Hと反応させ、シリルトリフラートとした後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)処理し、目的化合物をDBU-H^+の塩として合成した。この化合物は室温で徐々に分解し、加水分解後、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノールを与えるという興味深い結果を与えた。これらの一部については本論文として報告した。以上のように、本研究計画は計画通り遂行できた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Kawashima: "Generation and Decomposition of a Pentacoordinate Spirobis〔1,2-oxasiletanides〕" Organometallics. 17. 367-372 (1998)
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[Publications] T.Kawashima: "Synthesis of the First Stable Pentacoordinate 1,2-Thiaphosphetene" Phosphorus, Sulfur and Silicon. (in press).
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[Publications] 川島 隆幸: "季刊化学総説No.34「有機超原子価化合物」" 学会出版センター, 21 (1998)
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[Publications] T.Kawashima: "Chemistry of Hypervalent Compounds" Wiley-VCH, 40 (1998)