1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440224
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
市村 彰男 大阪市立大学, 理学部, 教授 (50047396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土江 秀和 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (30137187)
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Keywords | 多核金属錯体 / 酸化還元電位 / 溶媒効果 / 分光電気化学 / ボルタンメトリー / 混合原子価状態 |
Research Abstract |
多核金属錯体の中心金属のレドックスでは多くの場合1電子多段階酸化還元過程が見られ,各段階の酸還元電位は,各段階で生成する種の,金属間相互作用と溶媒和エネルギーの二つの因子が大きく関与する。多核錯体と相当する単核錯体の酸化還元電位の溶媒効果を詳細に比較検討を行った。また,混合原子価状態に特徴的な近赤外領域に現れるintervalence charge charge transfer(IT)吸収帯の溶媒効果による研究からも,これらイオンの溶媒和状態についての知見を得た。 具体的には,フェロセン単核錯体と複核錯体の酸化還元電位の溶媒効果の比較を行った。用いた化合物は,フェロセン(FcH),Fc-Ec,Fc-CH_2CH_2-Fcである。フェロセンが直接結合しているビフェロセニル(Fc-Fc)はFc同士に相互作用を有する錯体であり,一方メチレン基2個でフェロセンをつないだFc-CH_2CH_2-FcはFc間に相互作用を有しない錯体である。多くの有機溶媒中でのボルタンメトリー測定の結果は,Fc-Fc分子は明確な1電子2段階酸化反応を示すのに対し,Fc-CH_2CH_2-Fcは2段階の1電子酸化波が重なる結果を示した。後者の場合,ディジタルシミュレーション手法により,重なり合った酸化還元電位を正確に求めることに成功した。アセトニトリルとブチロニトリルを溶媒に用いた場合,1段目と2段目の酸化還元電位差に明確な差が現れた。現在,他の溶媒を含めこの差の要因の統一的な解釈を検討中である。 また低温でも測定可能な近赤外分光電気化学セルを作成し,二量体の混合原子価状態の電気化学生成とIT吸収帯の測定に成功した。現在,吸収体の解析と,Marcusの外圏電子移動機構の理論を組み合わせ,溶媒和再配列エネルギーの定量的な見積もりを行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Kitano: "Lantern Type Heterobimetallic Complexes." J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1998・19. 3177-3182 (1998)
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[Publications] K.Funatsu: "Nobel Cofacial Ruthenium(II)Porphyrin Dimers and Tetramevs" Inorg.Chem. 37・19. 4986-4995 (1998)
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[Publications] H.Takagi: "Mixed-Valence State of a Series of Sulfur-Bridged Triangular・・・" Inorg.Chem.Commun.(in press). (1999)
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[Publications] K.Ichihashi: "Facilitated Im-Tranofer of a Hydrophobic・・・" Chem.Lett。. (in press). (1999)