1999 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性のキーストン : 間接的な生物間相互作用
Project/Area Number |
10440228
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 哲士 北海道大学, 農学部, 教授 (50001475)
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Keywords | 昆虫植物相互作用 / 産卵選好性 / 生存過程 / 化学種 / 摂食促進物質 / ヤナギ |
Research Abstract |
(1)成虫の産卵選好性と幼虫の生存率の関係 葉に潜るポプラシロハモグリとゴールを形成するハコブハバチの産卵選好性と幼虫の生存率の関係を比較した。ポプラシロハモグリの成虫は野外では幼虫が発育できない2種を含むすべてのヤナギに対して産卵を行っていた。しかし、室内での選択実験では雌成虫は幼虫が発育できないヤナギに対する産卵を避ける傾向が見られた。そのため、選択実験により示された成虫の産卵選好性と幼虫の生存の間に見られた一致が野外では実現されていないことが明らかになった。これに対して、ハコブハバチは6種のヤナギのうち1種だけにしか産卵しないという強い産卵選好性を示した。 (2)ヤナギルリハムシの摂食促進物質 オノエヤナギにはアンペロプシンを含有するフラボノイド型とケイ皮酸エステル配糖体型の2つの化学種の存在が明らかになった。オノエヤナギの葉の粗抽出物を用いた検定で、ヤナギルリハムシ成虫の摂食促進活性が見られ、その活性が薄層クロマトグラフィーと組み合わせた検定で、アンペロプシン相当部分に分布することを確認した。以上の事実から、オノエヤナギに含まれるアンペロプシンがヤナギルリハムシ成虫の摂食促進物質であると考えられる。
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[Publications] Ishihara M.,Hayashi T.& Ohgushi T.: "Life cycle of the willow leaf beetle, Plagiodera versicolora (Coleoplera; Chrisomelidae) in Ishikari"Entomological Science. 2. 57-60 (1999)
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[Publications] Price P.,Roirinen.H.& Ohgushi T.: "Comparative plant-herbivore interactions involving willows and three gall inducing sawfly species in the genus Pontania"Ecoscience. 6. 41-50 (1999)
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[Publications] Yamaga Y.& Ohgushi T.: "Preference-performance linkage of an herbivorous lady beetle; Cousequences of valiability in natural enemies"Oecologia. 119. 183-190 (1999)
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[Publications] Yamaji K.Fukushi Y.et al: "Characterization of antifuugal metobotites produced by Penicillium species isolated from the seeds of Pacaglehnil"Journal of Chemical Ecology. (in press). (1999)
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[Publications] 大串隆之: "生命の地球:生態系=生物共存を支える共生系="三友社出版 (印刷中).