1999 Fiscal Year Annual Research Report
地理的隔離と集団サイズがイワヒバリ地域個体群の遺伝的多様性に与える影響
Project/Area Number |
10440232
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
中村 雅彦 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (90272880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 裕子 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (40107462)
西海 功 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (90290866)
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Keywords | イワヒバリ / 高山帯 / 個体群動態 / DNA / 越冬個体群 / 繁殖個体群 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
平成11年度研究実績の概要 昭和60年以来個体群生態学的研究を継続している乗鞍岳において、本年度も継続調査を行ったところ、標高2600m以上の山頂部に129個体のイワヒバリが生息していることがわかった。129個体のうち前年度に乗鞍岳で繁殖した個体は155個体(帰還率は83.2%)であった。前年度に標識した雛の個体数は55個体でそのうち44.6%の個体が本年度成鳥として帰還した。極端に高い成鳥の帰還率及び若鳥の帰還率は、昨年同様の結果であり、乗鞍イワヒバリ個体群は遺伝的多様性のかなり低い集団であることが標識調査からも示唆された。標識調査の際には各個体から少量の血液を採血し、DNAを抽出した。 イワヒバリ隔離個体群として昨年度調査目標とした中央アルプス、妙高山、立山に本年度は調査に入り、中央アルプスでは3個体、妙高山では6個体のイワヒバリを捕獲し、各個体から少量の血液を採血するとともにDNAを抽出した。立山には3回入山し、個体の捕獲につとめたが、入山時期が9月であったため一個体も捕獲することができなかった。しかしながら、中央アルプス、妙高山、立山ともテリトリーマッピング法によりおおよその個体群サイズを把握することができた。 イワヒバリは漂鳥であり、秋になると繁殖地となる高山帯から渡去し、冬から初春にかけて低山帯のV字谷で越冬する。越冬個体群と繁殖個体群の関係を調べるため、前年と同様、山梨県塩山市の一之瀬、群馬県足尾町、長野県長谷村戸草、長野県駒ヶ根市大久保、長野県中川村小渋、山梨県河口湖町御坂で越冬するイワヒバリを捕獲・採血した。越冬地の中で長野県駒ヶ根市大久保は本年度新たに発見した越冬地である。 イワヒバリの遺伝的多様性の解析に関して、本年度から新たに九州大学大学院比較社会文化研究科の小池裕子教授を研究分担者に加え、分析を進めている。現時点ては、ミトコンドリア領域の増幅に成功し、その一部の塩基配列を読むことに成功した。これにより全領域の塩基配列を決定し、どこを集中的に分析したらよいかのめどがたった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中村 雅彦: "イワヒバリの奇妙な繁殖生態"BIRDER. 7月号. 27-33 (1999)
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[Publications] Kubota H.and Nakamura M.: "Effects of supplemenal food on intra and inter-specific behaviour of the Varied Tit Parus varius"The Ibis. 142(in press). (2000)
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[Publications] 中村 雅彦: "雲上の鳥、イワヒバリ"MoRs. 2000年春号(in press). (2000)