1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内共生が藻類細胞オルガネラの構造と配置の多様化に及ぼす影響とその解析
Project/Area Number |
10440245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 慶明 山形大学, 理学部, 教授 (60111358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 潤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80272011)
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Keywords | Rhodella属 / 単細胞紅藻 / ピレノイド / 細胞内共生 / オルガネラの位置関係 / 分子系統解析 / 18SrDNA / オルガネラの多様化 |
Research Abstract |
未同定培養株の観察、調査とそれらの微細構造解析を中心に行った。その結果、Rhodella属の新種と思われる藻1株(宮城県仙台市蒲生干潟)、同属の未記載種R.anulomargarita(沖縄県石垣島、名蔵川)と同種の2株(オーストラリア・シドニーと沖縄県西表島後良川)を同定した。さらに、管状構造物がピレノイド基質に陥入する、これまで報告の無かったタイプの藻株(グアム島、オーストラリア・クインズランド、同じくビクトリアおよびフィージー・ヤクラ島)が確認された。前3株は同種の可能性が高く、最後の株は単細胞紅藻類の中だけでなく、紅色植物でも最初の例になるが、1細胞中に多数のピレノイドが存在していた。 これら新たに微細構造の特徴を確認した藻群に焦点を当て、それらの18SrDNAによる分子系統解析を行った。全ての塩基配列明らかにしてはいないが、1) Rhodella属はピレノイド基質にチラコイドや観入構造物など全く入り込まないピレノイドを有することで第一義的に定義できること、2) 従って、ピレノイドにチラコイドが陥入しているR.cyaneaはRhodella属から除かねばならないこと、3) それらは分子系統的にも単系であること、4) 葉緑体-ピレノイドと核の位置関係に多様性が認められ、それは細胞内共生後に生じた一連の宿主と共生体のオルガネラの一体化として把握できること、が明らかになった。これらの知見をまとめて、本年6月香港で開催される第2回アジア太平洋藻類フォーラムで発表する。また、ピレノイドに管状構造物の陥入する藻群が単系統であり、Porphyridium属と近縁であることも判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hara Y.(共著): "Pigments and fatty acids of marine raphidophytes:A chemotaxonomic re-evaluation." Phycologial Research. 46. 213-220 (1998)
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[Publications] Hara Y.(共著): "Evolutionary divergence in the red algae Caloglossa leprieurii and C.apomeiotica." Journal of Phycology. 34. 361-370 (1998)
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[Publications] 原 慶明(共著): "福島県裏磐梯曾原湖の微細藻類相 I.出現種類の予備調査" 山形大学理学部裏磐梯湖沼実験所報. 6. 26-42 (1999)
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[Publications] 原 慶明(共著): "飛島周辺海域の海藻相の現況" 平成9年飛島自然環境調査業務委託報告書. 19-38 (1998)
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[Publications] 原 慶明(分担): "生物種の多様性" 千原光雄編 裳華房 東京 (印刷中), (1999)