1999 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛虫類にみられる短縮型ヘモグロビンの構造と機能およびその分子起源に関する研究
Project/Area Number |
10440248
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
四釜 慶治 弘前大学, 教育学部, 教授 (40004337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 玄一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00197360)
松岡 有樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30222293)
村上 修 弘前大学, 教育学部, 教授 (60006088)
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Keywords | ヘモグロビン / ミオグロビン / ゾウリムシ / テトラヒメナ / 自動酸化反応 / 分子進化 / 繊毛虫 / イントロン |
Research Abstract |
(1) 原生動物ヘモグロビンの結合酸素の安定性 ヘモグロビンに結合した酸素分子の安定性を調べるために、オキシ型からメト型への自動酸化速度をpH5〜13までの広い領域に渡って測定した。得られたpH-profileを比較検討すると、遠位(E7)ヒスチジン残基を介した「プロトン-リレー機構」による酸触媒過程が自動酸化反応の大部分を押し進めているものの、全体としては、哺乳動物のミオグロビンと同程度の安定性を示すことは、驚くべき発見であった。 (2) 「短縮型」ヘモグロビン分子の遺伝子構造 『短縮型』ヘモグロビン分子の遺伝子構造について、特にイントロンの挿入位置とその大きさに焦点を合わせて比較解析した。その結果、グロビン遺伝子にイントロンを有するゾウリムシやクラミドモナスの場合と、イントロンを持たないテトラヒメナやシアノバクテリアの場合などがあって、同じ単細胞生物由来の短縮型グロビン分子といえども、そのゲノム構造とヒスチジン残基の含有量などには著しい多様性が認められ、高等動物のヘモグロビンやミオグロビンとは全く異なる分子起源を持つことを強く示唆している。 本課題によって得られた研究成果の一部は,まず、原著論文"A myoglobin-like protein from Tetrahymena pyriformis: Its heme environment, autoxidizability and genomic DNA structure"にまとめられ、現在Biochimica et Biophysica Actaに投稿中である。また、昨年の8月23日から28日にわたって、カナダのカルガリーで開催された「第5回・国際比較生理生化学会」でのシンポジウム(No.11"Oxygen binding and related protein:Structure, function and evolution")には,研究分担者を含めて三名が出席し,招待講演とポスター発表を行った。さらに本研究の代表者は、これまでの約20年間におよぶミオグロビン研究の成果を一冊のモノグラフにまとめ、「Myoglobin: Stability and Evolutionary Aspects」として上梓し、朝日新聞から出版した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shikama K.: "A Morphological Note of the Calciferous Glands of the Earthworm Eisenia foetida"The Science Reports of the Tohoku University. 40(No.3). 179-185 (1999)
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[Publications] 四釜慶治: "ミオグロビンやヘモグロビンも錆びる:ヘム鉄の酸化とグロビン部分の役割"化学と生物. 37(No.4). 260-265 (1999)
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[Publications] Shikama, K.: "Myoglobin : Stability and Evolutionary Aspects."Asahi Shimbun Publishing Service, Tokyo.. 162 (1999)