1999 Fiscal Year Annual Research Report
軟体動物アメフラシにおける多種同族体ペプチドの生理機能に関する研究
Project/Area Number |
10440249
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松島 治 広島大学, 理学部, 教授 (80127711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 祐子 サントリー生物有機科学研究所, 日本学術振興会特別研究員 (80274025)
森下 文浩 広島大学, 理学部, 助手 (20210164)
古川 康雄 広島大学, 理学部, 助教授 (40209169)
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Keywords | 神経ペプチド / 同族体ペプチド / 軟体動物 / アメフラシ / 免疫組織化学 / 消化管運動 |
Research Abstract |
多種同族体ペプチドを構成するペプチドファミリーは無脊椎動物に多数存在すると思われるが、本研究では、その生理機能を解析することにより多種同族体ペプチドの生物学的意義を明らかにすることを目的としている。昨年度は、アメフラシ中枢神経系から単離した3ファミリーの消化管運動抑制ペプチド(AIPファミリー、MlPファミリー、MlP関連5残基ぺプチド)について、 1 消化管の各部位をはじめとするアメフラシの種々の組織に対する生物活性の検討、 2 各ファミリーペプチドに対するポリクローナル抗体を用いたペプチド含有細胞の免疫組織化学的検索、 3 本ファミリーペプチドの消化管組織からの単離、などを行った。 本年度は、 1 各ファミリーペプチドをコードするcDNAの解析により、MIPファミリー前駆体中には14種26コピー、AlPファミリーでは20種33コピー、MlP関連5残基ペプチドでは6種37コピーのペプチド配列がそれぞれ存在していることを明らかにした。 2 in situハイブリダイゼーション法により各ファミリーペプチド遺伝子の発現細胞を解析した結果、その陽性細胞の分布は免疫陽性細胞のそれとよく一致した。 3 昨年度に引き続き、個々の同族体ペプチドの活性を種々の組織間で比較した結果、一部のペプチド種については活性の序列が組織間で異なっていた。 4 受容体解析の目的で、^<125>I-標識した合成アナログペプチド数種について、アメフラシ消化管組織から調製した粗膜標本との結合実験を行ったが、現時点で特異的結合は検出できていない。これらの結果は、今回注目した多種同族体ペプチドの機能の一つは、消化管運動の抑制的制御であることを示唆している。また、多種同族体ペプチドは大部分機能的冗長性を示すと考えられるが、一部は分化した機能を有する可能性も示している。
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[Publications] Satake,H. 他: "Evidence for conservation of the vasopressin/oxytocin superfamily in annelida."J.Biol.Chem.. 274・9. 5605-5611 (1999)
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[Publications] Fujisawa,Y. 他: "The Aplysia Mytilus inhibitory peptide-related peptides"J.Neurosci.. 19・21. 9618-9634 (1999)
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[Publications] Minakata,H. 他: "Comparison of precursor structures of the GGNG Peptides"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 63・2. 443-445 (1999)
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[Publications] Nagahama,T. 他: "Localization of the leech excitatory peptide,a member of the GGNG peptides"Cell Tissue Res.. 297・1. 155-162 (1999)
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[Publications] Fujino,Y. 他: "Possible functions of oxytocin/vasopressin-superfamily peptides in annelids"J.Exp.Zool.. 284・4. 401-406 (1999)
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[Publications] Satake,H. 他: "Characterization of a cDNA encoding a precursor polypeptide of a D-amino acid-containing peptide"Eur.J.Biochem.. 261. 130-136 (1999)