1999 Fiscal Year Annual Research Report
レーザドロプレットエピタクシ法による高品質電子材料薄膜の作製
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10450006
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森本 章治 金沢大学, 工学部, 助教授 (60143880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米田 稔 金沢大学, 工学部, 教授 (30019773)
清水 立生 金沢大学, 工学部, 教授 (30019715)
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Keywords | レーザアブレーション / ドロプレット / エピタクシ / イットリウム鉄ガーネット薄膜 / ガドリニウムガリウムガーネット基板 / PLD / 磁気共鳴半値幅 |
Research Abstract |
パルスレーザアブレーション(PLA)による薄膜堆積において、これまで邪魔者として扱われてきた液滴を逆に積極的に利用し、液相エピタクシ(LPE)的な成長条件で薄膜を堆積した。これは、気相エピタクシ(VPE)法では得られない欠陥の少ない高品質薄膜をPLA法で得ることをねらったものである。 今年度は、LPE法により高品質な薄膜が作製可能であることが知られているイットリウム鉄ガーネット(YIG)酸化物薄膜を対象とした。この材料は静磁波デバイスとしてマイクロ波帯のフィルタ応用が検討されている。液滴生成の容易なYAG レーザの第2高調波を用いて、PLAによるYIG薄膜の堆積を行った。レーザフルエンスを大きくし、ターゲット-基板間距離を短くすることにより、液滴状粒子の密度を飛躍的に高めることができた。基板温度を室温とすると堆積された薄膜は液滴で埋め尽くされており、ターゲットから飛来する粒子は液滴状粒子が主であることがわかった。そして、基板を(111)ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)基板とし、基板温度を上昇させることにより、YIG薄膜を良好に結晶成長させることが可能となった。具体的には、X線回折及び極点図測定により、YIG結晶が基板垂直方向に[111]優先配向していることが確認された。薄膜面内でもcube-on-cubeでエピタキシャル成長している成分が存在することがわかったが、その他の成分も混在し、完全に面内で結晶軸がそろったものでないことが確認された。また膜中の鉄の欠損も確認された。 マイクロ波帯で伝搬ロスの指標となる磁気共鳴半値幅ΔHは7.5Oeまで低減できた。LPE法では1Oe以下という報告があり、その値には及ばないが、組成調整と表面形態改善で△Hのさらなる低減は期待できる。また、組成ずれの原因としては、液滴の飛行中における酸化鉄成分の蒸発が考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Morimoto, S.0guri, T.Shimizu, T.Minamikawa, Y.Yonezawa: "Epitaxial Growth of Ge Film on Si by Pulsed Laser Ablation using Droplets"Proc. of Int. Symp. on Sputtering and Plasma Processing in l999. 19-20 (1999)
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[Publications] A.Morimoto, Y.Maeda, T.Minamikawa, Y.Yonezawa, T.Shimizu: "LPE-Like Crystal Growth of YIG Ferrimagnetic Thin Films by Pulsed Laser Ablation with Molten Droplets"Appl. Phys. A. 69・7. S703-S706 (2000)
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[Publications] S.Yamada, S.0guri, A.Morimoto, T.Shimizu, T.Minamikawa, Y.Yonezawa: "Preparation of Epitaxial Ge Film on Si by Pulsed Laser Ablation using Molten Droplets"Jpn. J. Appl. Phys.. 印刷中. (2000)
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[Publications] 森本章治、清水立生 (分担執筆 他49名): "[図解]薄膜技術(日本表面科学会編)真下正夫・畑 明延・小島勇夫編"培風館. 263 (2000)