1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ界面二次元電子系からの電界電子放射現象の解明とピコ秒電子源への応用
Project/Area Number |
10450017
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 達雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60011219)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILDE Markus 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10301136)
福谷 克之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10228900)
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
|
Keywords | 電界電子放射 / 表面 / 表面準位 / 二次元電子系 / ヘテロ界面 / GaAs / 真空 / 電子源 |
Research Abstract |
半導体超格子構造からの電界電子放射の研究を目的として、初年度は必要な装置の開発を行った.変調ドーブヘテロ界面の二次元電子系からの電界電子放射を測定することを具体的な目標として、電界電子放射顕微鏡、陰極試料劈開機構、電子分光器などの開発を進めた.GaAs/AlGaAs界面が気体吸着により汚染され易いため、電界放射陰極の作成は、超高真空雰囲気で劈開することが必要であった.また、一枚の超格子基板により多数回のの測定が可能であることも必要である.このような要請を満たす劈開機構として、形状記憶合金バネを利用した多重劈開機構を完成し、超高真空装置内で実際に超格子基板を頂角90゚に劈関することに成功した.先端の曲率半径は約10nm程度が実現されることが判った.電界放射電子のエネルギー分析は、ヘテロ界面の電子状態が電界放射電子のエネルギー分布にどのように反映するかを実験的に明らかにすることがその目的であり、180゚半球型静電分光器を開発した.完成したエネルギー分析器のエネルギー分解能は、約20meVであった.これらの実験装置の要素の開発を年度内にほぼ完了し、電界放射顕微鏡として、ペテロ界面からの電子放射の測定を、年度末に開始した.装置全体のコンディショニングと手直しを現在、行っている段階である.超格子陰極を極低温に冷却することを次年度に計画しているが、この冷却機構との整合性を含めて、劈開機構の改良が必要であることが判った.
|