2000 Fiscal Year Annual Research Report
電子遷移誘起脱離(DIET)法による希ガス固体の励起子緩和の動的過程の研究
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10450019
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Research Institution | Gakushuin University, Faculty of Science |
Principal Investigator |
荒川 一郎 学習院大学, 理学部, 教授 (30125976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 孝人 学習院大学, 理学部, 助手 (40218821)
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Keywords | 電子遷移誘起脱離 / 電子励起脱離 / 光励起脱離 / 励起子 / 希ガス固体 / 励起原子 |
Research Abstract |
研究の目的は,電子・光励起によって起こる希ガス固体からの脱離を観察し,励起子が関わる脱離機構を明らかにするとともに,希ガス固体内部・表面に生成した電子的励起の緩和とエネルギー散逸の動的過程を解明することである. 最終年度にあたり以下の実験装置を完成した. ・Kr,Xe固体研究のためのパルスチューブ冷凍機をクライオスタットとした電子励起脱離実験装置. ・レーザプラズマ真空紫外光源:プラズマ発生源となる標的金属の駆動機構および,波長掃引機構の自動制御系を製作した. 本年度は,Ne,Ar,Kr固体を対象として以下の成果を得た. ・光励起による全脱離絶対収率の測定:分子科学研究所極端紫外光実験施設を利用して,全脱離収率の励起波長依存性と膜厚依存性の詳細を調べた.充分厚い希ガス層では,バルク励起子の生成エネルギに対応する光を照射すると,1光子あたりの脱離原子数は,Neではほぼ1,Arでは0.2であるのに対し,Krでは0.01〜0.1の範囲にあることを明らかにした. ・電子励起による全脱離絶対収率の測定:電子を励起源とした実験を学習院大学で行い,その収率の絶対値,膜厚依存性などについて,光励起との相違を明らかにした. ・脱離機構と励起子の緩和過程に関する考察:これまでに行った準安定粒子の絶対脱離収率,励起二量体の脱離と発光などの実験結果と合わせて,固体内部および表面における励起子の緩和経路のモデルを作成し,その一部については分岐比を定量的に定めることに成功した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] I.Arakawa: "Absolute measurement of total photo desorption yield of solid neon in vacuum ultraviolet range"Surface Science. 451. 136-142 (2000)
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[Publications] T.Hirayama: "Desorption of an excimer from the surface of solid Ne by low energy electron and photon impact"Phys.Rev.B. 63. (2001)