1998 Fiscal Year Annual Research Report
極薄シリコン酸化膜/シリコン界面のキャリア捕獲準位と微視的構造との関係の解明
Project/Area Number |
10450020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 健雄 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (10061516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 和之 宇宙科学研究所, 衛星応用工学系, 助教授 (00280553)
野平 博司 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (30241110)
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Keywords | シリコン酸化膜 / Si-SiO_2 / 界面構造 / 原子スケール / 酸化膜の層状成長 / 酸化反応 / 価電子帯 / 第一原理分子軌道計算 |
Research Abstract |
先ず、Si(100)面の酸化の進行に伴うシリコン酸化膜の表面形態及びSiO_2/Si界面構造の変化を非接触動作原子間力顕微鏡観察及びX線光電子分光法により調べた。その結果、以下の知見が得られた。酸化温度が700℃の場合、酸化膜厚1.0nm以下では表面の凹凸は高々界面におけるシリコンの1原子ステップであり、この厚み以上では表面の凹凸は膜厚の増加とともに増加する。さらに、900℃で酸化するとシリコン酸化膜の表面粗さは急激に減少し、酸化前の表面の凹凸と同程度となる。これは、膜厚が1.0nmを越えた場合、酸化温度が低い場合には酸化膜の応力緩和が起こりにくく、酸化温度が高い場合には酸化膜の応力緩和が起こりやすいことによる。また、酸化の進行に伴い表面粗さが膜厚周期0.19nmで変化する。これは界面において酸化反応が層状で生じていることを示唆している。次に、SiO_2/Si(100)界面構造、界面準位密度分布の酸化の進行に伴う変化を調べた結果、界面における単原子ステップの存在による応力が、midgap近傍の界面準位を生成することを見出した。また、SiO_2/Si(111)界面構造、界面準位密度分布の酸化の進行に伴う変化を調べた結果、界面構造に関係した界面準位を検出することができた。さらに、水素ラジカル照射による界面準位密度分布の変化から、界面準位の生成要因はSiのダングリングボンドだけでは界面準位密度分布を説明できないことなどが明らかとなった。最後に、水素終端したSi(100)基板を熱酸化して約1nm厚のSiO_2を形成した。このSiO_2/Si界面を高分解能光電子分光法で測定したところ、SiO_2の価電子バンドと内殻準位のエネルギー差は、界面近傍ではバルクより約0.2eV大きいことが分かった。その原因を考察するために第一原理分子軌道計算を行った結果、界面に近いSiO_2は歪んでおり、Si-O-Si角度が約135-140度と、バルクより小さくなっていることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Hirose,H.Nohira,T.Koike,K.Sakano,and T.Hattori: "Structural transition layer at SiO_2/Si interfaces" Physical Review. B59・8. 5617-5621 (1999)
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[Publications] T.Hattori,M.Fujimura,T.Yagi and M.Ohashi: "Periodic changes in surface microroughness with progress of thermal oxidation of silicon" Applied Surface Science. 123/124. 87-90 (1998)
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[Publications] K.Hirose,H.Nohira,T.Koike,T.Aizaki and T.Hattori: "Initial stage of SiO_2 valence band formation" Applied Surface Science. 123/124. 542-545 (1998)
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[Publications] H.Nohira,A.Omura,M.Katayama and T.Hattori: "Valence band edge of ultra-thin silicon oxide near the interface" Applied Surface Science. 123/124. 546-549 (1998)
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[Publications] T.Hattori: "Surface, interface and valence band structures of ultra-thin silicon oxides" Applied Surface Science. 130-132. 156-164 (1998)
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[Publications] 村田好正、八木克道、服部健雄: "固体表面と界面の物性" 培風館, 166 (1999)