1999 Fiscal Year Annual Research Report
極薄シリコン酸化膜/シリコン界面のキャリア捕獲準位と微視的構造との関係の解明
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10450020
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 健雄 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (10061516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 和之 宇宙科学研究所, 衛星応用工学研究系, 助教授 (00280553)
野平 博司 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (30241110)
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Keywords | シリコン酸化膜 / Si-SiO_2 / 界面構造 / 弾性散乱 / 非弾性散乱 / 光電子回折 / 価電子帯 / 第一原理分子軌道計算 |
Research Abstract |
本年度は、次の二つの重要な成果が得られた。すなわち、AIKα線で励起したSi2p光電子の酸化膜中における弾性および非弾性散乱の過程を世界で初めて明らかにしたことと、構造遷移層とバルクSiO_2の境界で価電子帯のバンドオフセットが生じるという以前我々が得た解析結果の原因が構造遷移層とバルクSiO_2の構造の違いによることを明らかにしたことである。1)AIKα線で励起したSi(100)面からのSi2p光電子スペクトル強度の方位角・極角依存性、いわゆる方位角・極角方向の光電子回折パターンの酸化に伴う変化を測定した。方位角方向の光電子回折パターンの酸化に伴う変化が方位角に依存することから、酸化膜中における光電子の弾性散乱が無視できないことが明らかになった。また、シリコン基板から放出される光電子スペクトルに注目すれば、非弾性散乱された光電子は測定した光電子回折パターンには寄与しないので、全てをまとめて一つの非弾性散乱断面積で記述できる。そこで、酸化膜中の光電子の弾性散乱をWenzelモデルにより記述して、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果、弾性・非弾性散乱断面積として、それぞれ1.2×10^<-20>m^2および1.2×10^<-20>m^2、真の非弾性平均自由行程として3.8nmの値が得られた。また、AIKα線で励起したSi2p光電子の酸化膜中於弾性散乱は半値全幅約15°の強い前方散乱であることがわかった。この結果は、界面準位密度の測定対象となる酸化膜の膜厚の高精度決定に重要である。2)水素終端したSi(100)基板上に約1nm厚の熱酸化膜を形成して、この界面を高分解能光電子分光法で測定したところ、この極薄SiO_2とSiの価電子バンドオフセットは、厚膜SiO_2の場合より約0.2eV小さいことが分かった。その原因を考察するために第一原理分子軌道計算を行った結果、界面に近いSiO_2は、Si-O-Si角度が約135-140度と、バルクより小さくなっているという、昨年度得られた検討結果を強く支持する結果が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Hattori,K.Hirose,H.Nohira,K.Takahashi,and T.Yagi: "Elastic scattering of Si 2p photoelectrons in silicon oxide"Applied Surface Science. 144-145. 297-300 (1999)
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[Publications] H.Nohira,K.Takahashi,and H.Nohira: "Compositional and structural transition layer studied by the energy loss of 0 1s photoelectrons"Thin Solid Films. 343-344. 401-403 (1999)
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[Publications] T.Hattori,K.Takahashi,and H.Nohira: "The initial growth steps of ultrathin gate oxides"Microelectronic Engineering. 48. 17-24 (1999)
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[Publications] H.Nohira,K.Takahashi,and H.Nohira: "Energy loss of 0 1s photoelectrons in compositional and structural transition layer at and near the SiO_2/Si interface"Solid State Phenomena. 65-66. 241-244 (1999)
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[Publications] N.Watanabe,Y.Teramoto,A.Omura,H.Nohira,and T.Hattori: "Detection of Interface States Correlated with SiO_2/Si(111) Interface Structures"to be published in Applied Surface Science. (2000)
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[Publications] K.Hirose,H.Nohira,K.Sakano,and T.Hattori: "Atomic Structure of SiO_2 and SiO_2/Si Interfaces"to be published in Applied Surface Science. (2000)