1999 Fiscal Year Annual Research Report
エバネセント光散乱法による界面近傍分子の動的物性研究
Project/Area Number |
10450033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直人 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10282592)
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
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Keywords | エバネセント光 / 光散乱 / 界面近傍物性 / 粒子拡散 / フラストレート全反射 / ブラウン運動 |
Research Abstract |
電場や磁場、温度などの外場に対して敏感に応答する液晶やゲル、生体系などの複雑流体は、それが固体の界面と接するとき界面が持つ異方性や界面吸着分子がつくる静電層などの影響を受け、バルク中とは異なった構造や振る舞いを示すものが多い。これら界面と分子の相互作用をミクロなレベルで調べることは、物性研究のみならず工学的応用の面からも重要である。本研究では界面のごく近傍における液体のダイナミクスを調べる新しい手法として、エバネセント光を用いた動的光散乱法を開発することを目的とする。 本年度は、昨年度に制作した動的エバネセント光散乱装置を用いて、熱揺動に伴なう界面近傍微粒子の拡散運動の測定を行った。レーザー光を固体-液体の界面に臨界角以上で入射すると光は全反射されるが、このとき屈折率の小さい液体側に波長程度の厚みだけしみ出すエバネセント光を生成する。このエバネセント場に光と結合する屈折率分布が存在すると、光は通常の伝搬する光に変換され光散乱を示す。実験ではまず試料として粒径があらかじめ知られたポリスチレン微粒子のラテックスを用い、媒質中での粒子のブラウン運動を観察した。これにより界面近傍の粒子の運動のみを選択して抽出できることが明らかとなった。さらに界面近傍では、粒子と界面の流体力学的相互作用の結果増加する見かけの粘性の影響を受けて、ブラウン運動が抑制されることをはじめて確認した。さらに現在、界面近傍における液晶性分子の配向緩和現象を観察する試みを進めている。 さらに新しい界面測定手段であるフラストレート全反射光散乱法の開発を行った。この測定法は、界面近傍における屈折率の不均一により生ずる全反射条件の破れを調べるもので、界面方向の運動のみを抽出して測定できるという利点を持つ。測定結果は理論と良く一致し、本測定法の有効性を確認することができた。
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Research Products
(1 results)