1999 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙空間における原子状酸素による炭素系材料の劣化の定量化
Project/Area Number |
10450043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30010911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 浩司 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (40182993)
塩谷 義 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30013733)
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Keywords | 原子状酸素 / 材料劣化 / DCアークジェット / 低軌道 / 複合材料 / グラファイト / C / C複合材料 |
Research Abstract |
宇宙空間を模擬した熱真空試験設備であるスペースチャンバ内において、高温放電タイプのDCアークジェットを用い、原子状酸素照射実験を行った。DCアークジェットにより、酸素分子を原子状酸素に熱解離させ、ノズル部で空力的に加速し、高エネルギ原子状酸素として試験片に照射した。試験片として、高密度グラファイト、C/C複合材、Si-C.C.(シリコン含浸C/C複合材)の3種類を用いた。高エネルギ原子状酸素の衝突により生ずる質量損失を原子状酸素の衝突による影響を表すパラメータとしてとらえ、試験片の劣化を定量的に評価した。また、照射試験前後の表面形態の変化をSEMで観察した。これらにより、材料表面と原子状酸素との反応の微視的機構の解明を試みた。今回、新しく試験片として採用したSi-C.C.については、EPMAにより、照射後の試験片表面の成分分析を行い、Si、SiC、C/C複合材各部における原子状酸素の衝突による劣化状態を調べた。さらに、実験と合わせて、理論解析として分子動力学法を用いた数値計算モデルを構築した。これは、実験では単独で変化させることが難しいパラメータ(原子状酸素衝突速度、材料表面温度、照射時間)について、自由に変化させることを可能にする。また、地上実験だけでは完全に宇宙実験を再現できない部分を、数値計算モデルにより補うことが可能となる。今回構築したモデルにより、原子状酸素の衝突により材料が劣化していく様子をシミュレートし、実験結果と定性的に一致する結果を得ることが出来た。
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