Research Abstract |
(1)ナノアブレージョンの基礎実験(堀内 宰,池野順一 共同担当) 前年度に引続き,ナノアブレージョンの基礎実験を行い,基本的な加工特性を調べた.工作物材料として,BK7,石英ガラス,単結晶Siを採用した.前年度製作完成した噴射加工装置を用いて,各種条件のもとで噴射加工実験を行い,加工痕形状,材料除去 速度とその分布,および仕上げ面粗さなどについて調べた.砥粒はWA砥粒の微粒(#4000〜#30000)および超微粒コロイダルシリカ(粒径10〜20nm)を用いた.今回は,加工痕内の材料除去速度分布や仕上げ面粗さを明らかにすることに主眼をおき,工作物の走査は行わなかった.実験条件として,噴射圧力,噴射角度,噴射時間を変化させた.得られた主な結果は,噴射角が90°でない場合,加工痕形状が長円形であり材料除去速度分布が不均一で幅方向で放物線形またはW形,長手方向で逆不等辺三角形となること,噴射角が90°の場合の加工痕が軸対称円形で,断面がW形になること,砥粒径が大きく噴射圧力が高いほど材料除去速度および仕上げ面粗さが大きいこと,材料除去量は噴射時間に比例すること,材料除去速度が工作物材質,砥粒材種,噴射圧力,噴射角度などによって変化すること,などである. (2)修正仕上げ加工への適用のためのシミュレーションと予備実験(堀内 宰,池野順一 共同担当) 修正仕上げ加工に適用するとき,噴射角が90°でない場合の非軸対称の加工痕形状では,良好な結果を得ることが困難である.そこで,噴射角90°の場合のW形断面形状から,UV形の断面形状を得る方法について検討した.その方法として,工作物を円運動させることを考え,そのときに得られる加工痕断面形状を,コンピュータシミュレーションによって推定した.その結果、円運動の半径を適当に設定することによって,所要のUV形断面形状が得られることがわかった.実際の噴射加工実験を行ったところ同様の結果が得られ,修正仕上げ加工では,工作物またはノズルを円運動させながら走査することにより,実現できると考えられる.
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