2000 Fiscal Year Annual Research Report
ナノアブレージョンによる硬脆材料の超精密仕上げ加工に関する研究
Project/Area Number |
10450056
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
堀内 宰 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (20029185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池野 順一 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10184441)
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Keywords | 超精密加工 / 噴射加工 / 硬脆材料 / 仕上げ加工 / 修正加工 / 表面粗さ / 微細砥粒 |
Research Abstract |
本研究は,硬脆材料の超精密加工における加工精度を格段に向上させるために,最終的な修正仕上げの加工法として考案した,微細砥粒を水に混合した加工液を加工面に高速噴射させてnmオーダの極微小加工を行う,「ナノアブレージョン」の基本的特性を明らかにするとともに,修正仕上げ加工への適用の可能性を検討することを目的として行った. 加工装置は,加工チャンバ内でワークをNC制御X-Yテーブル上に保持し,加工液をスクリューポンプにより加圧し,ノズルよりワーク面に噴射するものである.ワーク材料は光学ガラスとシリコン単結晶を用いた.砥粒としてWA微細砥粒とシリカ超微粒子を用いた. まず,ノズルを静止させた状態で,各種条件を変化させて加工実験を行った.単位時間加工痕の外形は,噴射角が90゜の場合は円形であるが,その他の場合は噴射方向に長径をもつ楕円形であった.加工痕の長軸方向断面形状は,左右非対称なV型をしており,一方,短軸方向断面形状は,左右対称なV形とW形の2種類があった.加工痕深さおよび表面粗さは砥粒径および噴射圧力の増大とともに増加する傾向にあったが,低噴射圧力もしくは微細砥粒では,1時間当りの加工深さが数μm以下で,表面粗さ数nmの鏡面が得られ,超精密仕上げ加工の可能性が見出された. 次に,形状修正加工への適用の可能性を検討した.形状修正加工に適用するには,加工領域が円形となる噴射角90゜がよいのだが,加工痕断面形状がW形となり問題であった.そこで,これを解決するために,ワークを円運動させて加工する方法を考案した.まず,シミュレーションにより円運動の最適半径を求め,それに基づいて実験を行ったところ,ほぼ軸対称のUV形の断面形状が得られることが分かった. 以上のことから,本加工法が硬脆材料の超精密加工面の修正仕上げ加工に適用できるものと考えられる.
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