単泡性ソノルミネッセンス気泡の発光相と化学相:制御と観察

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10450073
• Research Institution: The University of Electro-Communications
• Principal Investigator: 林 茂雄 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (60126357)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 安井 久一 工業技術院名古屋工業技術研究所, 通商産業技官 ; 宮嵜 武 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50142097) ; 鎌倉 友男 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50109279)
• Keywords: 単泡性ソノルミネッセンス / 多泡性ソノルミネッセンス / 超音波キャビテーション / 非線形音響 / 電気分解 / ビデオ計測 / 数値シミュレーション

Research Abstract

本研究のめざすところは、「シングルバブルソノルミネセンス(SBSL)を通じて、キャビテーションにおける発光⇔流体力学⇔化学反応という学際的問題に新たな展開をもたらすこと」である。そして、目標として掲げたのは、(1)SBSL生成と制御の自動化システムを構築すること、(2)気泡運動を画像撮影してダイナミックスを解析すること、(3)化学反応との接点を探ることである。今年度はランジュバン振動子駆動の低Q型矩形セルを用いて実験し、興味深い知見が得られた。併せて昨年度の高Q型矩形セルとの相違も考察した。
(1)については、塩化カリウム水溶液の電気分解によって種(タネ)気泡を作り、それを発光させることができた。極性次第で水素気泡と塩素気泡を発光させることができた。後者の発光は本研究で初めてみつかった。この技術は、従来のように外部からの気体導入によらずとも発光気泡を作ることができることを示したものであり、自動化の一つの要素となる。
(2)については、(1)の過程をビデオカメラで測定した。低Qのためか、気泡位置がゆらいで顕微鏡観察が困難であった。詳細な解析のためには、焦点深度の深いシステムで移動の様子を記録するか、高速撮影で一周期内のダイナミックスを観測する必要がある。後者については、実験が進行中である。
(3)については、主に数値シミュレーションによる研究がさらに進展した。化学反応に関係の深いマルチバブルソノルミネセンス(MBSL)気泡のダイナミックスをSBSL気泡との対比によって調べた。

Research Products

• [Publications] 林 茂雄: "Finite angular resolution Mie-scattering measurements of sonoluminescing bubbles"Jpn.J. Appl.Phys.. 38. 6562-6563 (1999)
• [Publications] 野村英之: "進行波内の微小粒子に作用する音響放射力"日本音響学会誌. 55. 619-625 (1999)
• [Publications] 宮嵜 武: "Quasigeostrophic, tilted spheroidal vortices"J. Phys. Soc. Jpn.. 68. 2592-2601 (1999)
• [Publications] 宮嵜 武: "Linear and non-linear interactions between a columnar vortex and external turbulence"J. Fluid Mech.. (掲載予定).
• [Publications] 安井久一: "Single-Bubble and Multibubble Sonoluminescence"Phys. Rev. Lett. 83. 4297-4300 (1999)
• [Publications] 安井久一: "Effect of a Magnetic Field on Sonoluminescence"Phys. Rev. E. 60. 1759-1761 (1999)
• [Publications] 安井久一: "Single-Bubble Sonoluminescence from Hydrogen"J. Chem. Phys.. 11. 5384-5389 (1999)
• [Publications] 林 茂雄: "科学計測における誤差解析入門"東京化学同人. (2000)