1999 Fiscal Year Annual Research Report
接触界線領域の蒸発現象に注目した高熱流束沸騰現象に関する研究
Project/Area Number |
10450080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西尾 茂文 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00111568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白樫 了 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80292754)
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Keywords | 熱工学 / 熱伝達 / 相変化 / 接触界線 / 蒸発 / 沸騰 / 限界熱流束 / マイクログルーブ |
Research Abstract |
本研究は、気泡構造と接触界線長さ密度との関連がつかみやすい「擬似二次元沸騰系(以下、沸騰系)」と接触界線領域の蒸発現象の顕在化が期待できる「マイクログルーブ系(以下、グルーブ系)」とに関する研究を両輪として、高熱流束沸騰における相変化機構の解明を目的としている。第2年度である本年度は、沸騰系については、バーンアウトBOをトリガーする気泡構造を探る薄膜沸騰面系と、裏面と側面からの同時観察により固液接触構造および気泡構造を探る透明沸騰面系とにより実験を行ない、以下の結果が得られた。(1)気泡系分布はサブクール度の増加とともに小寸法側に移動するが、高サブクールでは飽和する。(2)昨年度報告したように高サブクール沸騰では限界熱流束CHFが飽和するが、これは気泡径分布に関する蒸気の結果と関係している。(3)高サブクール沸騰では、上述のように巨大合体気泡の発生密度・頻度ともに低下するが、飽和沸騰と同様に巨大合体気泡がBOをトリガーし、飽和沸騰におけるCHFモデルがサブクール沸騰におけるCHFに拡張できる可能性がある。(4)高熱流束沸騰では、固液接触は主に合体気泡間に存在する。(5)サブクール沸騰でも接触界線長さ密度は沸騰曲線と同様の曲線を描き、接触界線長さ密度はサブクール沸騰でも基本量である。(6)サブクール度の増大とともに合体気泡の寸法が減少し、(4)の結果により同一熱流束の飽和沸騰における接触界線長さ密度より長くなる結果、CHFが増大する。シリコンウェハー表面に矩形の溝加工を施したグルーブ系については、蒸発実験を行なうとともに、ドライアウトを想定したCHFモデルを構築し数値解析を行い、以下の結果が得られた。(a)CHFが最も高くなる溝幅が存在し、これは蒸発面高さ5mmのエタノール系では溝幅0.1mm程度に相当する。(b)上述のCHFモデルは、実験値とよく一致する。
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