1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10450186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森杉 壽芳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80026161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 孝行 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20232754)
林山 泰久 東北大学, 経済学部, 助教授 (20260531)
徳永 幸之 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (40180137)
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Keywords | 需要予測 / 国土計画 / ミクロ経済学 / 便益評価 / 時間価値 / 存在価値 / 社会階層別行動モデル / 交通 |
Research Abstract |
本研究は、基本的にはミクロ経済モデルに立脚した実用的な需要予測モデルの開発をめざしている。その際、様々な施策の便益もその行動モデルから整合的に計測をすることができることを念頭に置いている、本年度の成果は、以下のとおりである。 (1) 交通をはじめとして多くの財を消費するに当たっては時間を要する。従って、時間価値の理論的計量的性質を知る必要がある。本研究では簡単な消費者行動モデルを作成し、価格、所用時間、利用可能時間、所得の変化が時間価値に与える影響の感度分析を示した。これは、従来の理論研究では明らかでなかった点である。 (2) 空港、道路ネットワーク、物流などを対象とし、伝統的4段階推定法を用いた場合と本研究で提案しているミクロ経済行動モデルを用いた場合の利用者便益の値に関する比較を行った。その結果、多くの場合に、厳密な定義に墓づく値との比較では、ミクロ経済行動モデルを用いた場合の方が、より正確であることが判明した。 (3) 従来、ミクロ経済行動モデルを用いた場合でも、利用価値のみが計測可能であって、存在価値は計測不可能であるといわれてきた。しかし、行動モデルの推定結果より、存在価値の計測が可能であるとの文献がある。このため、本研究では、その実用的可能性を検討するための広瀬川のレクレーンョン行動モデルを構築し、このときの利用者便益のみならず存在価値をも計測した。その結果、存在価値は全便益の半分程度もあると判明し、また、本便益計測法は実用性があることも判明した。 (4) 都市公共交通利用者の行動実体を把握するために、仙台市地下鉄の平日における女性の買い物行動を調査した。その結果、郊外に住む年輩の女性は都心での買い物を望んであるが、交通が不便のため、取りやめており、若い世代が比較的よく利用していることが判明した。この結果は、社会階層別交通行動モデルの必要性を示している。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 上田孝行、堤盛人: "わが国における近年の土地利用モデルに関する総合フレームについて"土木学会論文集. No.625/IV44. 65-78 (1999)
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[Publications] 河野達仁、森杉壽芳: "時間価値に関する理論的考察一私的交通のケースー"土木学会論文集. No.639/IV46. 53-64 (2000)
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[Publications] 小池淳司、上田孝行、冨田貴弘: "高齢者対策としての杜会資本整備の国土構造に与える影響分析"土木計画学研究・論文集. No.16. 201-206 (1999)
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[Publications] 小池淳司、上田孝行、三浦光俊: "人的資本形成から見た都市群システム分析"土木計画学研究・論文集. No.16. 217-224 (1999)
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[Publications] 武藤慎一、上田孝行、稲垣貴政: "地域特性と地域相互作用を考慮した地域政策の経済分析"土木計画学研究・論文集. No.16. 279-288 (1999)
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[Publications] 木村俊宏、徳永幸之: "地下鉄沿線における女性の平日買物行動の変化分析"都市計画論文集. No34. 739-744 (1999)
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[Publications] 上田孝行、福本潤也: "空港整備の費用便益分析のための基礎的考察"土木計画学研究・講演集. No.22(1). 81-84 (1999)
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[Publications] 木村俊宏、徳永幸之: "郊外型商業施設立地による買物行動変化分析"土木計画学研究・講演集. No.22(1). 109-112 (1999)
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[Publications] 橋本浩史、徳永幸之: "通勤および業務需要から見た都市部循環バスシステムの検討"土木計画学研究・講演集. No.22(1). 487-490 (1999)
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[Publications] 小池淳司、上田孝行、宮下光宏: "旅客トリップを明示したSCGEモデルの試み"土木計画学研究・講演集. No.22(2). 107-110 (1999)
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[Publications] 冨田貴弘、武藤慎一、上田孝行: "応用都市経済モデルによる都市交通整備政策の影響分析"土木計画学研究・講演集. No.22(2). 119-122 (1999)
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[Publications] 浦部晶彦、森杉壽芳、河野達仁: "時間制約を明示的に考慮した私的交通行動モデル"土木計画学研究・講演集. No.22(2). 667-670 (1999)