2000 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者の空間認知における地域音環境の役割解明に関する実験的研究
Project/Area Number |
10450210
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田村 明弘 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50017977)
|
Keywords | 視覚障害者 / 音環境 / オリエンテーリング / 教育支援プログラム / 空間認知 / 触地図(携帯型) / 1次元的歩行 / 2次元的歩行 |
Research Abstract |
視覚障害者の歩行は、地域内の自分の位置と目的地の位置関係を把握するオリエンテーションと、一つの場所から他の場所へ安全かつ能率的に移動するモビリティーとを組み合わせたものとして成り立っている。しかし、モビリティーに不自由を感じていない視覚障害者でも、周辺環境の認知に困難を伴うことに起因してオリエンテーションが得意でないために未知の場所を歩行することや、自分で歩行経路を選びながら歩行することに困難を感じていることが多い。特に外出歩行に不慣れな視覚障害者や高齢になってからの失明者は、屋外を歩行する際、危険回避に多大な意識を集中しなくてはならないため、周辺環境を把握するまでに至らず屋外歩行に対して消極的になりがちである。そこでこのような環境の把握ができないため、外出に消極的になりがちな視覚障害者に対して、オリエンテーション能力を向上させる支援が必要であると思われる。 12年度は前年度に試みた視覚障害者オリエンテーリング実験の反省の上、より主体的歩行を促すため、携帯型触地図を利用した観光地探索実験を行い、二次元的空間把握を促すための携帯型触地図利用が歩行に与える影響を観察し、わかりやすく利用しやすい触地図を検討した。 視覚障害者は触地図を用いることで、歩行地域の全体像、現在地と目的地の位置関係を把握することができ、未知の場所に対しての不安がなく、事前に目的地や歩行経路を自由に選択することができた。また触地図を携帯型にしたことで、歩行中に目的地・歩行経路を変更するといった柔軟な歩行が可能となった。触地図を介して目的地や歩行経路を確認しながら相談したり、口で説明してもわかりにくい場合でも触地図を用いて人に説明するなど、触地図が視覚障害者同士、視覚障害者と晴眼者の情報交換に役立っていた。また触地図がメンタルマップを作成するのに補助的な役割を果たし、二次元的把握を促すことに有効である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 太田篤史,仲島史子,安藤袷子,田村明弘: "視覚障害者のオリエンテーリング-外出歩行能力の向上を目的とした支援プログラム-"日本建築学会技術報告集. 第12号. 189-192 (2001)