1999 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型酸化物における骨格構造Bサイトイオン空孔の存在可能性
Project/Area Number |
10450239
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水崎 純一郎 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90092345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 憲一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50270830)
二唐 裕 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (90006148)
川田 達也 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (10271983)
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Keywords | ペロブスカイト型 / 自己拡散係数 / 化学拡散係数 / 熱膨張率 / 固体酸化物燃料電池 / 酸素電極 / 金属空孔拡散 / 酸素不定比性 |
Research Abstract |
一般式ABO_3で表されるペロブスカイト型酸化物は、酸素空孔が生成しやすく金属空孔は生成しにくい。中でも、Bイオンは酸素を介して互いに密に結ばれて結晶構造の骨格を形成するため,Bサイトには欠陥は極めてできにくいと考えられている。LaMnO_3系ペロブスカイト型酸化物は,酸素雰囲気で金属欠損型の不定比性を示し,どの様な欠陥生成機構によりその金属欠損が生じるのか注目されている。然るに,中性子回折やX線回折の精密解析によっても欠陥がAサイトのみに存在するのかA,B両サイトに存在するのか未だ定かでなく,この解明が本研究の主題である。昨年度は拡散を測れば問題が解決するという見通しのもとにLaMnO_3緻密試料作製に重点をおいた。本年度に入り,緻密試料の作製法が確立したため,輸送現象や欠陥化学の立場から研究プランを詳細化し,次のような実験を並行して開始した。(1)微量不純物イオンの拡散挙動からA,B各サイトイオンの自己拡散係数の決定,(2)熱膨張と格子体積の変化の関連から金属空孔の定量化,(3)酸素圧変化による重量や体積の緩和から金属拡散が支配的な条件での化学拡散係数の決定。今のところ何れも予備的な知見であるが,(1)ではAサイトイオンの拡散係数がBサイトイオンの拡散係数より2桁程度大きいこと,(3)では金属不足領域での化学拡散係数は酸素不足に比べて2-3桁小さいこと等,斬新な知見が得られて始めている。今後,各計測と解析を進め,その結果からLaMnO_3内のBサイトにおける空孔の存在量とそのAサイト空孔の量に対する割合を解明していく。
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