1999 Fiscal Year Annual Research Report
電磁環境対策用新規SiC-フェライト系ハイブリッド広帯域電波吸収体の創製
Project/Area Number |
10450250
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨井 洋一 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (90026245)
中西 真 岡山大学, 工学部, 助手 (10284085)
藤井 達生 岡山大学, 工学部, 助教授 (10222259)
山本 恵久 戸田工業(株), 創造本部, 主任技師
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Keywords | 電波吸収体材料 / セラミックス・ハイブリッド材料 / 焼結体 / フェライト / 炭化硅素 / ソフトケミカル合成 / 電波吸収特性 / 整合周波数 |
Research Abstract |
本研究は、次世紀の高度情報通信社会での電磁環境下で問題となることが予想される電磁波障害の根本的な解決を目指し、従来の材料とは全く異なる新規な半結晶SiCとフェライト系のセラミックス・ハイブリッド型電磁波吸収体材料の創製を図ったものである。この新セラミックス・ハイブリッド材料の合成においては、出発原料として結晶性SiCおよびフェライト粉末を用いた成型・焼結する通常の粉末冶金法は利用することが出来ないことより、本研究では斬新なソフトケミカル法を用いて行った。すなわち、SiCの前駆体であるポリカルボシランPCSを用い、この溶液とフェライトとの混合体を不融化、成型・熱処理することによって、フェライト基地中にSiC粒子を微細分散したセラミックス・ハイブリッド材料の作製し、その微細組織と電磁波吸収特性を明らかにし、新規吸収体材料の開発を検討した。本研究ではフェライトとして、主としてCu-Znスピネルフェライトを用いた。 得られた成果の概要を以下に示す。 (1)本ソフトケミカル合成法を用いて、不融化処理とその後の熱処理を制御することによって、新規な半結晶SiC-フェライト系セラミックス・ハイブリッド型電磁波吸収体材料の創製に成功した。具体的な合成条件は、不融化処理を250〜500℃で、その後二段階の熱処理を行う。つまり、第一段はAr雰囲気中1000℃で12h、第二段は空気中1000℃で12hである。 (2)本新規ハイブリッド材料中のSiCは半結晶性のSiCで、微細粒子としてフェライト基地中に分散している。このハイブリッド材料の密度は、PCS量の増加と共にほぼ直線的に減少することが判った。 (3)更に、本新規ハイブリッド材料の電磁波吸収特性はPCS量のみならず不融化温度に著しく依存することを見出した。とりわけ、不融化温度を制御することによって、整合周波数が300MHzから900MHz、さらには8GHzへと飛躍的に高周波側に移動することを初めて見出した。
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[Publications] Jun Takada: "Preparation and Properties of a Novel Electromagnetic Wave Absorber Ferrite/Sic Sintered Composite"Advances in Powder Metallurgy & Particulate Materials-1999. Vol.3. 12-11-12-14 (1999)
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[Publications] 高田 潤: "ソフトケミカル合成法による新しい電磁波吸収体材料の開発研究"岡山経済. 22・263. 28-35 (1999)