1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10450262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森井 賢二 大阪府立大学, 工学部, 教授 (10101198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 利之 大阪府立大学, 工学部, 助手 (20219372)
津田 大 大阪府立大学, 工学部, 助手 (80217322)
間渕 博 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (70109883)
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Keywords | 熱電変換材料 / 多層膜 / イオンビームスパッタ / 固相反応 / CoSb_3 / ゼーベック係数 / 電気的性質 |
Research Abstract |
熱電変換材料への応用を目途として、半金属あるいは半導体よりなる多層膜構造を実験的に検討し、熱電変換材料の性能指数の飛躍的増大の可能性を明確にしようとするのが本研究の目標である。3年間の研究予定期間において、初年度に熱電材料の薄膜化と電子物性および構造評価を行い、次年度以降、初年度の結果を踏まえて、半金属あるいは半導体多層膜を設計・作製するとともに、その熱電特性の評価を通して、多層膜構造における性能指数の飛躍的増大の可能性を検討する。 本年度の研究として、以下の3課題を中心に検討した。 (1) 熱電変換材料の薄膜化とその結晶学的評価 高い性能指数を持つ結晶として注目されている材料の一つにスクッテルダイト型CoSb_3をあげることができる。本研究では、まずCoSb_3結晶の薄膜化を検討した。その結果、イオンビームスパッタ法によりガラス基板上に作製したCo/Sb多層膜に適当な熱処理を施することにより固相反応を誘起させれば、化学量論組成のCoSb_3結晶薄膜の作製が可能であることが分かった。 (2) 熱電変換薄膜のミクロ構造と伝導特性評価 上の方法で作成されたCoSb_3薄膜に対して、TEMによるミクロ組織観察、四端子法による伝導度およびゼーベック係数の測定を行った。薄膜の組織はCoSb_3単相で、10〜100nm程度の微細粒径からなるものであった。また、CoSb_3薄膜はp型の半導体的特性を示し、室温でのゼーベック係数は100μV/K程度の値で、ほぼバルクに匹敵する特性を示すことが分かった。 (3) 多層膜作製用超高真空イオンビームスパッタ装置の設計、作製 半導体、半金属の電気的特性は微量不純物量に大きく影響されるので、高純度、高品質の薄膜の薄膜を作製するために、超高真空下で結晶多層膜の成長が可能な装置を設計し、作製にあたった。
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