1998 Fiscal Year Annual Research Report
高レベル放射性廃棄物地層処分環境におけるチタン不働態皮膜のカソード劣化過程
Project/Area Number |
10450266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 信義 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40111257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222503)
杉本 克久 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80005397)
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Keywords | 高レベル放射性廃棄物 / 地層処分 / ベントナイト / オーバーパック / チタン / 不働態皮膜 / 膜厚 / 化学組成 |
Research Abstract |
1. 研究目的 高レベル放射性廃棄物を地層処分する方法として,我が国では炭素鋼あるいはチタン製のオーバーパックと圧縮ベントナイトの緩衝材を人工バリアとして設置することが検討されている。しかしながら,深部地下の還元性地下水中におけるチタン表面酸化皮膜の変質過程や水素吸収および応力腐食割れ挙動は未だ分かっていない。本研究では,地層処分環境におけるチタンの腐食挙動を明らかにすることを目的とする。 2. 研究成果 (1) 長期間浸漬による腐食電位変化の測定と表面皮膜性状変化の解析: 地層処分環境を模擬した腐食環境である0〜0.5M-NaClを含む模擬ベントナイト接触水(50℃および95℃)にTiを浸漬し,腐食電位の経時変化を測定した。また,一定時間間隔で試料を取り出し,表面皮膜の厚さと光学定数,化学組成,表面形態の変化を調べた。腐食電位は浸漬直後の約一週間は時間と共に低下し,その後ほぼ一定となった。電位変化に及ぼすNaCl濃度影響は認められなかった。表面酸化皮膜の厚さと光学定数および表面形態は時間によらず一定であった。皮膜の化学組成については,時間の経過と共にOH結合の割合が僅かずつ増加する傾向が見られたが,酸化状態は同じであることは判明した。 (2) 空気中生成皮膜のカソード劣化過程の解析: 空気中生成皮膜で覆われたチタンを模擬ベントナイト接触水に浸漬し,電気化学的カソード分極を行いながら皮膜性状の変化を解析した。その結果,腐食電位から-0.8Vまでの電位範囲では,皮膜の厚さや組成に大きな変化は起こらないが,電位が-0.8V以下になると,膜厚は減少し,皮膜の屈折率は低下,吸収係数は増加することが分かった。このような屈折率および吸収係数の変化は皮膜中のTi^<3+>とOHイオンの存在割合が増加に起因することが分かった。
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