Research Abstract |
高周波炉において,1600℃,脱酸アルゴン気流中で,Al_2O_3,MgOまたはZ_rO_2るつぼを用いてFe-10%Ni系またはFe-0.2%C-0.02%P系合金を溶解した。これに,あらかじめ溶製したFe-X系(X=Al,Ti,Zr,Ce,Nb)またはNi-Mg系合金を添加し,脱酸生成物を生じさせて一次介在物とした。また,1600℃,脱酸アルゴン気流中で,Al_2O_3るつぼを用いてFe-0.2%C-0.02%P-S系合金を溶解し,Fe-Ce合金を添加して,脱硫生成物CeSを生じさせて一次介在物とした。さらに,1600℃,Ar-N_2気流中で,Al_2O_3またはMgOるつぼを用いてFe-0.2%C-0.02%系合金を溶解し,Fe-Ti合金を添加して,脱窒生成物TiNを生じさせて一次介在物とした。これらの3種類の実験において,それぞれの一次介在物が懸濁しているメタル試料を1400℃まで冷却した後,水中急冷を行った。この際,1600℃での保持時間,1600℃から1400℃までの冷却速度,1400℃での保持時間を種々変化させた。 メタル断面を鏡面研磨し,メタル各部について,光学顕微鏡観察により介在物の数・大きさ・分布状態を求めた。また,X線マイクロアナライザーにより,介在物組成を求めた。その後,メタル断面をエッチングし,光学顕微鏡により凝固組織およびオーステナイト結晶粒を観察した。エッチングに際しては,メタル組成に応じたエッチング剤の選択が重要であった。エッチングにより介在物は剥離するため,エッチング前の介在物分布とエッチング後の凝固組織およびオーステナイト結晶粒を対比することから,介在物と凝固組織およびオーステナイト結晶粒の位置関係を求め,凝固組織およびオーステナイト結晶粒の成長におよぼす微細一次介在物の組成,量および粒径の寄与を検討した。
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