1998 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性ポリマーのオンサイト分解機構および分解形態とその特性に関する研究
Project/Area Number |
10450307
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
海野 肇 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (10087471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 克敏 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (50302956)
丹治 保典 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (00282848)
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Keywords | 生分解性ポリマー / オンサイト分解機構 / 土壌 / PHBV / ポリマー分解菌 / 糸状菌 / 優先種 |
Research Abstract |
生分解性ポリマーの環境中での分解に関する既往の研究調査を行ったところ、大部分の研究は活性汚泥中または水環境中での分解に関するものであり、土壌中での研究報告例はきわめて少ないことが明らかとなった。実際に、生分解性ポリマーの分解試験法に関しては、水中および活性汚泥やコンポスト中における評価方法がJISやISOにて規格化されている。しかしながら、土壌中での分解試験法の規格化は遅れている。このような状況から、農業用フィルム等の生分解性ポリマーが実際に放出される場である土壌環境をとりあげ、生分解性ポリマーのオンサイト分解機構を明らかにする必要性を確認した。 分解機構を解明するためには、分解にかかわる環境因子を明らかにすることが不可欠である。そこで本研究では、種々の環境条件下にある土壌を採取し、その物理化学的特性と生分解性ポリマーの分解速度との関係を調べる実験を開始した。生分解性ポリマーとしては、微生物産生ポリエステルであるポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-バリレート)(PHBV)を選定した。同時に各土壌サンプルより分解菌のスクリーニングを試みたところ、複数種の微生物が得られた。これらは細菌、放線菌から糸状菌まで含む多様なものであった。また、土壌によって細菌が優先種である場合と糸状菌が優先種である場合とがあった。これまでに、多くの細菌が分解菌として水環境中および活性汚泥、コンポスト中から単離されているが、糸状菌についての報告例は少ない。本研究により、ある種の環境下における土壌中でのポリマー分解の主役は糸状菌の類であり、糸状菌による分解メカニズムの解明が土壌中でのポリマーの分解機構を知る上で欠かせないことが明らかとなった。これらの菌を用いてポリマー分解過程を解析するための長期分解試験を開始している。
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Research Products
(1 results)