1998 Fiscal Year Annual Research Report
ポリピリジル骨格を持つ新規な機能性有機蛍光物質の創成
Project/Area Number |
10450339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 孝二 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40134639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 穣 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80233188)
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Keywords | 蛍光性有機化合物 / 蛍光性テルピリジル / 蛍光性テルピリジン / 機能性蛍光物質 / 機能性錯体配位子 / 2,2'-ビピリジル / 2,2'-ビピリジン / 2-アミノフェナジン |
Research Abstract |
ポリピリジル化合物は、多点分子間相互作用が可能なことから有力な機能性骨格として注目されてきたが、強い蛍光を示す誘導体はほとんど報告例がない。本研究では、優れた光機能性錯体を形成する2,2':6',2"-テルピリジル(tpy)化合物に蛍光性を付与し、分子間相互作用に基づく蛍光制御が可能な、新規の機能性蛍光物質群を設計・合成し、機能評価を行うことを目的とした。本年度は、蛍光性tpyを目指した分子設計と合成をおこなった。また、蛍光性2,2'-ビピリジル(bpy)の開発について、新たな知見を報告する。 アミノ置換tpyを検討したところ、6-アミノおよび6,6"-ジアミノ体が有機溶媒中で380nm付近に高効率の蛍光を示すことを見出した。6-アミノ体の量子収率は0.7を超え、ジアミノ体の約二倍であった。一方、4'-アミノ体の量子収率は0.01以下であった。以上の結果、アミノ基を適切な位置に導入することで、高輝度の蛍光性tpyが合成できた。 さらに種々のtpy誘導体を検討したところ、4'-フェニル置換によって蛍光性が発現することを見出した(350nm;量子収率0.5)。フェニル基のバラ位に種々の官能基を導入したところ、官能基の電子供与性が大きくなるにつれて蛍光極大は長波長側に移動した。このことは、置換基導入による蛍光特性のチューニングの可能性を示唆している。 以上の結果から、アミノ基あるいはフェニル基を適切な位置に持たせることで、tpyに蛍光性を付与できることを明らかにした。今後は、分子軌道計算等を用いて置換基の種類・位置と蛍光性との関係を考察し、また蛍光性tpyの機能評価をおこなう。 Bpyに蛍光性を付与する新しい方法論として、蛍光性化合物2-アミノフェナジンを縮環させた。その結果、2-アミノフェナジンの蛍光性とbpyのキレート構造を併せ持つ化合物が合成できた。今後これの機能評価をおこなう。
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[Publications] H.Tomoda, T.Hirano, S.Saito, T.Mutai, K.Araki: "Substituent Effects on Fluorescent Properties of Imidazo[1,2-a]pyridine-based Compounds" Bulletin of the Chemical Society of Japan. (Accepted).
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[Publications] J.Otsuki, K.Harada, K.Araki: "Supremolecular Electro-and Proto-photoswitch" Chemistry Letters. 1999. 269-270 (1999)
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[Publications] J.Otsuki, K.Harada, K.Toyama, Y.Hirose, K.Araki, M.Seno, K: "Enargy gap dependence of electron transfer rates in porphyrine-imide supramolecular assemblies" Chemical Communication. 1998. 1515-1516 (1998)
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[Publications] K.Arai, K.Tada, M.Abe, T.Mutai: "Design of a Fluorescent Host for Monitoring Multiple Hydrogen-bonding Interaction Directly by Intramolecular Charge-transfer Emission" Journal of Chemical Society, Perkin Transaction 2. 1999. 1391-1396 (1998)
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[Publications] M.Sikora, P.Tomasik, K.Araki: "Thermolysis of Pectins with Biogenic Amino Acids" Polish Journal of Food Nutrition Science. 48. 391-400 (1998)
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[Publications] M.Sikora, P.Tomasik, K.Araki: "Preliminary Studies on Thermolysis of Chitin and Chitosan with α-Hydroxy Acids" Polish Journal of Food Nutrition Science. 48. 163-170
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[Publications] 妹尾 学・荒木 孝二・大月 穣: "超分子化学" 東京化学同人, 258 (1998)